七瀬家の末っ子くん

我儘が9個 ページ9

side 九条 天



華が興奮で発作を起こした

急いで鞄から吸入器を取り出す

吸わせようとするが華はパニックを起こして

抵抗するためうまく吸わせられない


『っはっぁ嫌だ！っやだやだやだっ！！！

行きたくないっ！っはぁはぁ

陸にぃっ！！陸にぃっ！』


僕の声も聞こえていない


天「華！

落ち着くんだ！大丈夫だから！」


楽「華！落ち着け！

天！何が起こってんだ！」


龍「話は後にしよう！

まずは華を落ち着かせないと」


そう言って

楽たちが華を落ち着かせようと腕を掴むと


『離して！離して！

行きたくない！僕は行きたくない！！


っ陸にぃ！はぁはぁっ母さん！父さん！っはぁ』


パニックを起こして記憶が混濁してるんだ

今華は10歳の時

九条さんと僕が無理やり連れて行ったあの日を

頭の中で繰り返してるんだ

どうすればいい？

まずはパニックを鎮めないと


コンコン


ノックの音が聞こえた

ボクらは顔を見合わせた

まずい

こんな時に人に入られたら誤解を招きかねない


陸「あの、いきなりすみません

華の呼ぶ声が聞こえたんです

入ってもいいですか？」


『陸にぃ！！』


華はボクたちを振り払って扉へ走った

そして扉を開けると驚いている陸に飛びついた


『陸にぃ陸にぃ陸にぃ陸にぃ！！

っ僕行きたくない！っはぁ…っうっ…ごほごほっ

っ助けてっはぁはぁ』


陸は驚いたみたいだけど

自分のことで慣れているのか


陸「…華、俺はここにいるよ

華とここにいる

大丈夫、どこにもいかないよ」


そう言って抱きしめるとボクにジェスチャーで

吸入器を貸してといった

ボクが渡すと


陸「華、落ち着いてゆっくり吸って

大丈夫、大丈夫だよ」


『…っすぅ…はぁ…』


華はゆっくりと深呼吸をすると気を失った


陸「…あの、華を寝かせてもらえますか」


龍「…あ、そうだね、手伝うよ」


陸の顔はとても心配そうで悲しそうに歪んでいた

楽も龍も眠る華の顔を見つめた


陸「…天にぃ

どういうことか教えて」


天「…陸

きみには関係のないことだよ

これはボクたち兄弟の話だ」


楽「天！！

七瀬はお前の弟だろ！ちゃんと話せ！」


龍「天、陸くんが来て落ち着いたなら

陸くんが回復の鍵なんだよ

話し合った方がいい」


陸「…ごめんね天にぃ


実はパニックを起こす前から聞いてたんだ

盗み聞きするつもりはなくて

華に話があったから行こうと思ったら

華の声が聞こえたから様子を伺ってた」

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