七瀬家の末っ子くん

我儘が15個 ページ15

side 七瀬 陸



華を寮に連れてきた日から少しして

華は本当に外国へと飛び立った

テレビではハリウッドの仕事のためと流れてたけど

本当の理由は九条なんだろう


この1年で俺たちはIDOLISH7として

色々あったけどみんなで乗り越え

さらに絆を深められたと思う


だけど

ツクモの社長の差し金によって

TRIGGERが失脚させられ

八乙女事務所を離れることになった


テレビ局もツクモを恐れて

TRIGGERの名前さえ出すことを嫌がる


毎年恒例のチャリティーテレソン“Friends day”も

Re:valeとTRIGGERとIDOLISH7で出るはずだった

そのために合宿をして歌も作ったのに

TRIGGERは参加することはできなくなった



そんなある日

仕事終わりに俺はツクモ社長に会ってしまった


そこで聞いたのは


“天にぃと華が九条について行った理由”


初めてわかった

全ては俺のためだった

なのに俺は気付かずずっと天にぃを責めていた


家族はいつも俺のいないところで

大切なことを決めてしまう


それが悲しかったけど

何も知らなかった自分に腹が立った



いつもは笑っていようと思えるのに

今だけは2人への申し訳なさでいっぱいだ


「陸にぃ」


ぼーっとしていると懐かしい声が聞こえた

前を見ると


陸「…華？」


いつの間に帰国していたのか

目の前には華がいる


『やっと帰ってこれたんだ

ただいま！陸にぃ』


華は前見た時より少し痩せていて

疲れているみたいだったけど

綺麗で愛くるしい見た目は変わっていない


笑顔で俺にただいまと言ってくれた彼に

おかえりと返すべきなんだろうけど

あの事情を聞いてしまって

華が苦しんでいたのを知っていたから

上手く返せない、笑顔が作れない


陸「華…ごめんね」


俺が謝ると華は不思議そうな顔をした


陸「俺わかったんだ

なんで2人が九条についていったのか


俺のためだったんだね

俺、何もわかってなかった

ごめんね」


俺が謝ると華は首を横に振る


『違う！違うよ！

謝らないで陸にぃ！

僕は 陸「ごめん華」…陸にぃ？』


陸「今はちょっと…

顔を見たくないんだ」


俺は華の手を振り払い華を置いてその場を離れた

華は目を見開いて固まっている


ごめんね華

きみに辛い思いをさせちゃって

でも今話してたら

ごめんしか出てこないんだ


本当はありがとうって言わなくちゃいけないのに


だから今は1人にしてほしい

天にぃにはこのことは黙っておこう


それが俺の罰だ

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