69_誰かいる ページ34
Aside
オビと別れてから私は城の庭を走り回っていた。
(何か嫌な気配がした。誰か侵入者がいる気がする)
ほっといても良かったのだが、ゼンの従者となったからにはそうはいかない。やると自分で決めたからにはしっかりとやり遂げなければ。
(1人…いや、2人くらいかな?本当に一瞬だけど殺気が高まった時があった。この城の誰かを殺そうとしているのかしら。…まさかゼンを?)
そうだとしたら益々見過ごす訳にはいかなくなる。私は久し振りに全力で城中を駆け回った。
A『はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ』
全力で駆け回り城を5周はした後、私は木の上で一度止まり呼吸を整える。
(まさかこのくらいで息が上がるなんて、1ヶ月の間に随分と鈍ったな)
自分の体力の低下に少し落胆する。しかし今はそれよりも…
(これだけ回ってみても怪しい人はいなかった。私の思い違いだったのかな)
勘まで鈍ったと憂鬱な気分になりながら今日の所は一度自室に戻る。
(誰も見つからなかったとは言え胸騒ぎがする事に変わりはない…。明日からはどんな事にも気を張ろう)
そう心に誓い慣れないベッドに身を任せた。
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オビside
オビ「A嬢大丈夫ですかねぇ?」
再び城内を歩きながら独り言を呟く。疲れたからやめようと言われたとはいえ、A嬢の体調は良さそうだった。ただ、眉間に皺を寄せていたので、何かあったことに違いはないのだろう。
(俺が何かしたとか?)
確かに突然手合わせを始めたが、A嬢は自分から挑発をしてきたくらいだし手合せのせいで機嫌が悪くなったとは思えない。
(………それにしても俺、A嬢の表情の些細な変化に気づけるようになっている気がする)
何を考えているのかまではわからないが、今まで全て同じ表情に思えた事からしては、少しの変化に気づけるようになった事は結構な進歩だろう。
(これでまた、少し近づけましたかね)
フラフラとそんなことを考えていると、前の方から見たことのない男が歩いてくる。
(見たことのない人間だな。でも城の中にいるってことは怪しいやつじゃないってことか?)
特に何も気にせずすれ違おうとしたその瞬間、相手からほんの一瞬強い警戒心が出てきた。それも普通の人間が発せられるものではないものが。
俺はほぼ反射的にその男の腕を掴んだ。
オビ「こんばんは。お兄さん。あんた誰?」
俺は目が笑わない笑顔で問いかけた。
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オビ大好き(プロフ) - ミルさん» 返信、更新が遅くなってしまいすみません。コメント本当にありがとうございます!少しずつですが頑張っていきます、楽しんで読んで頂けると嬉しいです。 (2017年12月5日 22時) (レス) id: 18b5cfd9e7 (このIDを非表示/違反報告)
ミル - とても面白いです!更新頑張って下さい!! (2017年10月10日 21時) (レス) id: 31845f0f7d (このIDを非表示/違反報告)
オビ大好き(プロフ) - コハルさん» コメントありがとうございます。更新が遅くなってしまい申しわけありません。今後も楽しく読んで頂けると嬉しいです。 (2017年7月20日 13時) (レス) id: feff5c808f (このIDを非表示/違反報告)
コハル - すっごくおもしろいです!応援してます!!がんばってください!!! (2017年7月18日 19時) (レス) id: ac42cc4477 (このIDを非表示/違反報告)
オビ大好き(プロフ) - ハルさん» とても力になるコメント、応援有難うございます!なるべく早く、沢山更新できるよう頑張ります。なので楽しみに待って頂けると嬉しいです。また、意見や良かった感想など教えて頂けると嬉しいです。これからも楽しんで読んで頂けるよう頑張ります。 (2017年6月1日 23時) (レス) id: feff5c808f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クリオロ | 作成日時:2017年5月3日 17時