【文スト】悲しみの向こうに (ページ21)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:13,274 hit

十七話. ページ21

太宰side

太宰「それで、君は私に何か用でもあるのかな？」

菊音「ご自分で大体の予想はついていますでしょう？私が何故、貴方の目の前に現れたのかを」

太宰「・・・・さぁ、どうだろうね？」

菊音「ﾌﾌｯ、白々しいことで」

正直、彼女のことについては、よく分からない所が多すぎる。そもそも、彼女が何時、何処で森さんに出会って、どういう経緯で側近になったのかすら分からない。

まさかとは思うけど、彼女も菊ちゃんと同じく、副業をしている身とか？いや、マフィアの地位から感がみて、そんなことをする余裕はないだろうね。

だとしたら、彼女はいったい何者なんだ？そんなことを考えていると、

ﾋｭﾝ！

太宰「！」

菊音「考える余裕があるとは、元幹部ながら感服いたします。ですが、それもいつまで続きますかね？」

顔の横を何かが横切った。振り向いてみると、そこにはナイフが刺さっていた。

太宰「驚いたね。君、何処に武器を所持していたんだい？見た感じ、武器を隠し持つことなんてできなさそうに見えるけど？」

菊音「普通であれば、ね？」

そう言うと彼女は、右手を上げてすぐ、ゆっくりと横に伸ばしていった。すると、途中で指先から水面のようなものが見えた。

太宰「・・・・空間系の異能力者かな？」

菊音「半分正解で半分不正解と言った所ですね」

そう言った瞬間、彼女は見えない空間に手を入れた後、そこから何か棒状の物を取り出し始めた。しばらく見ていると、その棒状の物の正体は、死神が持っていそうな大鎌であった。

菊音「私の異能力の名は、

・

・

・

・

・

死神」

太宰「死神？」

菊音「私の異能は、貴方と同じように異能を無効化することもでき、空間を利用して、今のように武器を出し入れすることも可能。

他にも、できることは多々ございますが、一番は、

・

・

死神の如く、貴方のような生者の魂を狩ること」

太宰「！・・・・それは、自殺願望者である私にピッタリの相手かもね」

菊音「ﾌﾌｯ、そうかもしれませんね」

これは、出会えたことに感謝すべきか、それとも、恨むべきかな？