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｢おれ、さぁ…。｣
そこで一旦、言葉を切って。
彼の方を向くと、なんとも言えない表情で目を伏せていた。
｢俺、もう、疲れてんな。｣
彼とは逆に、空を仰いで。
それを言い切って、そして、大先生の顔を見て。
まだ、彼は顔を伏せていた。
…あぁ。やっぱり、そうか、と。
それを確認して、言葉を継ぐ。
｢もう、いややねん。
生きてくのも、綺麗事で生きていかせようとするのも、疲れてもうた
…なぁ、終わりにしようや。｣
その、瞬間に。
大先生は顔を上げて、俺の方を向いて。
そして、初めて。初めて、本当に笑った。
｢やっと、気づいてくれた。｣
嬉しそうに、なんとも幸せに満ちた顔で。
あぁ、やっぱり、大先生はこれを求めていたんだと。
理解して、俺にも笑みが溢れた。
前まで楽しかったはずの賑やかさや、変わらない毎日。
それが億劫になり始めた時から、俺はこうしていたかったのかもしれない。
なんとなく、そんなことを思った。
二人で示し合わせたみたいに、ボロボロのフェンスを乗り越えて。
死の縁と、屋上と地面の境目が曖昧になっていくのを感じる。
ふと隣を向く。
｢だいせんせい、綺麗やなぁ｣
キラキラと光を反射する藍の瞳。眼下の光も相まって、星空を映し込んだような。
それが生き生きとして輝いていて。
どうしようもなく、美しいと思った。
｢んふ、ありがと。｣
そういって、ふんわりと笑う。
今まで見たどんな時よりも豊かな表情で笑った。
思わずそれに見惚れて、ぎこちなく笑みを返すとまた少し笑われた。
心地よい時間が流れる。
まだ、夜は明けない。
何も言わずに、手を握る。
涼しげな風が吹く。やっと自分の目的を思い出したみたいに、風が吹き抜ける。
今日は、あたたかい夜だ。
優しい闇が、俺たちを満たした。
｢さよなら、なんかな｣
｢またね、でいいんちゃうかな｣
見つめあってもう一回笑って。
繋いだ手を離さないようにして、俺たちは一歩を踏み出した。
時計が、カチリと音を立てて。
一瞬困ったような沈黙を感じたが、
それでもまだ、時計の針は、チクタクと音を立て続けるのだった。
『夜に駆ける』YOASOBI
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シエル(プロフ) - あおいゆうかさん» あ、クレジット入れ忘れやらかしてる…。直しますありがとうございますご名答です夜.に.駆.け.るです！！！楽しんでいただけたようでよかった…。ありがとうございます〜！！ (2020年7月23日 17時) (
レス) id: 7b3c911b7e (このIDを非表示/違反報告)
あおいゆうか(プロフ) - ゆうかです。ログインしました(やったぜ)え、もう神？これって、夜/に/駆/け/るですよね...？最高すぎてもう...虚ろげな先生好きです。待ってた(( これからも応援してます！！ (2020年7月18日 13時) (レス) id: 35bad95057 (このIDを非表示/違反報告)
シエル(プロフ) - ゆうかさん» やったぁ…。今回に関しては気付かれないように随所に歌詞を散らばらせてみました、お時間あれば見直してみてくださいな〜！ いえいえ、いつも暖かいコメントほんとに嬉しいです…！！まったり更新ですがゆっくり楽しんでいって下さいませ！ (2020年6月13日 1時) (レス) id: 6ccb03cf8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 相変わらずひしひしと気持ちが伝わってきて、ほんとしんどい…大好きです、最高でした…素敵なお話をありがとうございました！これからも楽しみにしてます！ (2020年6月12日 7時) (レス) id: 8749d17fa2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 待って待って、え、もう…やばすぎて気持ちの整理が…(落ち着けもちつけ)まず、原曲自体めっっさ好きで、誰か書いてくれないかなーと密かに思ってました…でも最後まできづかなかったです(阿呆)え、もう描写綺麗すぎません？なんでこんな書けちゃうの… (2020年6月12日 7時) (レス) id: 8749d17fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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