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5.ハロー、灯真 ページ7

「へえ、トウマって言うのか」

「うん。とー君、はじめましては?」

ヴィクトルの人差し指を掴んで、
愛想の良い笑顔を溢す。

最近発覚したのだが、とー君の挨拶とは、
人差し指を掴んで、笑うことらしい。
これが、かなり人を虜にしてしまう。

「可愛いね。勇利から聞いたんだけど、
日本人の名前はカンジに願いを込めるんだろう?」

「そうだね。ヴィクトルの名前も、
多分勝利から来てるんだろうけど、
勇利も、勝利と勇気の意味があるよ。
良い名前なんだけどね。勇利の名前、大好きなんだ」

同い年ということもあり、
ヴィクトルへの敬語は早々にやめた。
雲の上のような人と普通に喋っているなんて、
不思議には思っているのだが。

「じゃあ、彼の名前の意味は?」

ヴィクトルからの質問に、
とー君の名前を決めた時を思い出した。
勇利みたいな強い名前も良いな、とか
真利姉みたいな芯が強い名前も良いな、とか。
役所提出直前まで悩んだりもした。

「えっとね、この子の漢字は
灯るに真っ直ぐって書くんだけど、
この子が歩む道に明かりが灯って、
この子が真っ直ぐ歩めますようにって意味なの。
ずっと真っ直ぐじゃなくて良い。
寄り道しても、止まってしまっても、
最終的に明かりに気付いて、真っ直ぐ歩んでほしい」

好きなように生きてほしかった。
色んな経験をして、様々な人から影響を受けて、
自分が歩みたいと思った道を選べばいい。
それまでの過程で捻くれたって、
生意気になったって良い。

彼の明かり、という存在に、私はなりたかった。

明かりも、私一人じゃなくて、
それこそ勇利や、この子にとっての祖父母や、
ミナコ先生、ヴィクトルなど、
影響された人や目指したい人が
この子を導いてほしい、と強く願った。

「ああ、とっても素敵だね。
俺、そういうの大好きだよ」

「ぜひ名前で呼んであげてね」

「もちろんだ」

ヴィクトルも随分ととー君を気に入った様子だった。
ハロー、トウマ。腕の中の小さな温もりに、
何度も呼びかけてる姿を、ただ目を細めて見守った。

6.どこか遠くへ→←4.彼女の手の薬指



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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2019年9月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます!もう更新されないのでしょうか? (2018年12月29日 21時) (レス) id: 6124a9987a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナツみかん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月12日 11時

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