検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:47,108 hit

3.混乱してます ページ5

「ヴィクトルが勇利のコーチだなんて、
信じられないよねえ、とー君」

うとうとし始めたとー君の腹部を、
一定のリズムで叩く。

今日の散歩は雪のために中止。
母屋の中で、一番暖かい部屋を貸してもらい、
少し早めの昼寝の時間だ。

あのヴィクトルが来ようが、
勇利のコーチになると宣言しようが、
この小さな主には関係なく、
いつも通りに時間は進む。

実は、幼児の昼寝というのは意外と大変で、
寝返りをして、うつ伏せのままだと、
心臓が圧迫されてしまうらしい。
さらには、あまりに昼寝の時間が長すぎると、
昼夜逆転し、生活リズムが狂い、
寝られず、夜中に目が覚めてしまうそうだ。

この昼寝の時間は、私も一緒に
寝てしまうことが多いため、
うっかり長くなりすぎないよう、
気をつけなければいけない。

寝息が聞こえた辺りで、ゆっくり離れた。
今日の私は眠る訳にはいかない。

母屋を飛び出して、店に向かう。
どういう状況なのかを、把握する必要があった。

襖を開くと、出迎えたのは勇利だった。

「あ、A姉。ちょうど良かった。
今、自己紹介みたいなのしてて」

こちら、僕の二人目の姉。と、
日本語から英語に切り替える器用な弟の紹介を預かる。

「はじめまして。勇利の姉のAと言います。
二十七歳なので、真利姉の妹にも当たります。
よろしくお願いします」

「嗚呼……さっき、出迎えてくれた子だよね。
まさか、同い年だなんて。日本人は若く見えるよ。
こちらこそ、よろしく」

差し出された手を握ると、
ヴィクトルと目が合った。

本当に綺麗な顔立ちだ。
白い雪のような肌に、鼻筋がスッと通り、
長い睫毛が縁取る瞳は、碧く、吸い込まれそうだ。

「俺の顔に何か付いてる?」

「……いえ」

適度な時間が経ってから、手を離した。

4.彼女の手の薬指→←2.雪を連れてやってきた



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
167人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2019年9月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます!もう更新されないのでしょうか? (2018年12月29日 21時) (レス) id: 6124a9987a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ナツみかん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月12日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。