【wrwrd!】【MSSP】元一般人と軍人と傭兵 (ページ47)

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着慣れない服を着るとなんとも言えない気持ちになるのはいつぶりだろうか。

黒を基調とした軍服を眺めながら、白いシャツに腕を通す。
スラックスと上着を着て、ブーツを履いて鏡の前に立つと、全身を軍服で身を包んだ自分が写っていた。
髪を纏めて帽子に入れ込むと深く被り、部屋を出た。

外に出ると、いつもよりも一層賑わいを見せる町が見える。
出店が並び、大人も子どもも今日を楽しみにしていたのが分かる。
祝いの音楽と歌が聞こえ、道を走る子どもが横を駆けていく。
襟元にそっと口を寄せる。

「西市街地、異常なし」
『ーー了解』

右耳から聞こえる通信から、いくつかの声が聞こえてきた。どれも異常なし。良いことだ。
城の方を見ながら、本日の主役である人たちのことを考えた。
建国記念日。この日を盛大に祝い、同盟国のお偉いさんを呼ぶこの日は、いつもより警備を厳しくしている。
その為、市街地の見回りを兼ねて警備を強化している。正直、おひいさんの警護じゃなくて、少し寂しいと思った。

「ぐんじんさん！」
「、はい？どうしましたか？」

子どもの声に少し驚いてしまった。
５、６歳ぐらいの女の子が両手に大きな黄色い花を持って、こちらをじっと見ていた。
その黄色に一瞬、視線を奪われたが、すぐにしゃがんで女の子に笑いかける。

目の前が黄色しか見えなくなった。

「あげる！」
「え、いいの？」
「うん！だって、おしごとがんばってる、ぐんじんさんにあげたいから！」

少女からもらった黄色の花は、とても綺麗で自然に笑みが零れるほどだった。懐かしい気持ちにもなる。

「…ありがとう。この花、私の大好きな花なんだ」
「わたしも！ひまわり、すきなの？」
「うん、大好き。だから、」

持っていた向日葵の花を半分、少女に渡す。
少女は不思議そうにこちらを見てくる。あら、可愛い。

「こんな綺麗で素敵な花を私だけが貰うのは勿体ないから、私より、今日の為に頑張っている人たちにあげて欲しいな」

少女の頭を撫でて、しゃがんだ状態から一緒に立ち上がる。
周りからわっ！と声が上がった。驚いて周りを見ると、軽い人だかりが出来ていた。何故？
皆笑顔でこちらを見ている。

「軍人さん！良いこと言うじゃねーか！」
「良かったわねお嬢ちゃん！」
「軍人さん、うちの果物持っていくかい？」
「その向日葵いいわねーどこかで売ってるかしら？」

いつの間にか人に囲まれてしまった自分と少女は目を合わせ、なんとも言えず笑った。