【wrwrd!】【MSSP】元一般人と軍人と傭兵 (ページ43)

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容赦など一切ないその動きは、まるで鬼のように見える。
無駄が無く、敵を斬り伏せてくる姿が少しずつこちらに近づいてくる。

斬り伏せられた人だったそれが地面に転がった。
そして斬り伏せた張本人が血を振り払う。顔を上げ、目が合った。

「…………A？」
「お久しぶりです、ひとらんさん」
「……え、なんでここに、てか、え！？外道丸いるしあとその服、どういうこと？」
「まあそうなるよね。えと、そのね、簡単に言うと、私と外道丸はここの闇オークションの商品にされそうになってました」
「もう一回殺してくるわ」

くるりと後ろを向いて刀を構え直そうとするひとらん君に、ギョッとして慌てて止めに入る。

「待って待って、いっ…！」
「！怪我、してんの？」
「大丈夫、挫いただけ。それより早くここから逃げて」

爆破に関して最強の匠のきっくんに巻き込まれてしまっては大変だ。
もうすぐここは爆破されるから、と話して外道丸から離れようする。

ふいに、身体が持ち上げられ、すとん、と外道丸に乗っていた。はい？

「ひとらんさんうあ！？」
「これ着てて」

ばさりと上から上着を掛けられ、腕の手錠がパキン、と刀で壊された。
ひらりと前に乗ったかと思ったら、しっかり掴まるように言われたと同時に外道丸が走り始めた。

落ちる恐怖をかんじて、目の前のひとらんさんに抱きつく形で掴まる。
足の鈍い痛みもあるが、物凄いスピード過ぎて降りることが出来ない。

「ひ、ひとらんさん！？」
「ごめん後で聞くから」
「あ、ハイ」

駄目だ。発言権が無かった。
ずっと耳元で聞こえるあろまの怒号を聞きながらひとらんさんに身を任せて、外道丸は走り続けていた。

暫く走り続け、森の中でようやく外道丸が止まった。
うわあ、どうやってあろま達と合流しようか。爆発音が遠くに聞こえるから、まあ戻れるか？そんな心配をする私はそろそろ外道丸から下ろしてもらおうと思う。

「ひとらんさん、ありがとうございます」
「ん、怪我は……足だけ？」
「いやあ、自分のミスなんで気にしないでください。すいません、申し訳ないんですが降ろしてもらってもいいですか？」
「え、歩く気？」
「一応戻らなきゃいけないんで…」

心配してくれているひとらんさんが優しすぎてツライ。
あのメンバーは無事だとは思うが、このまま仕事放棄のようにしては怒られる。主にあろまに。マジおこされる。

「それはやめといた方がええで」

頭上から声が聞こえた。