【wrwrd!】【MSSP】元一般人と軍人と傭兵 (ページ30)

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は？ときっくんの声が聞こえた。
目の前のグルッペン・フューラーの顔は、おひいさんが拗ねる時とそっくりだから。
大人に対してなだめるように話すのは、なかなかないわ。

「こっちで対応しきれない時は助けてもらいたいです。駄目なら諦めます」
「…………」

考え込むグルッペン。自分の国が絡んでるんだから当たり前か。
ちらり、とトントン氏を見て、トントン氏が首を振っている。駄目です。と伝えている。

しかしグルッペン氏は先ほどと打って変わってとても良い笑顔になっていた。
トントン氏が頭を抱えている。大天使乙です。

「いいだろう。こちらからの条件を飲んでもらおう」
「叶えられる事ならなんで…あ、すいません、国に入るのは出来ないんでそれ以外でお願いしますハイ」
「チッ…仕方ない、今後こちらからの依頼を受けてもらう」
「舌打ち聞こえてますよ。無理な依頼じゃなければ」
「交渉成立だ。敬語もいらんゾ」
「時と場合にもよるんであしからず」

するりと腕から手が離れ、手を差し出された。
手を握り、握手をする私を見ていたきっくんが肩を掴んできた。きっくんちょい痛いわ。

「はいはい話終わりましたよね？Aは俺と、今から、一緒に、行くんで、もういいでしょうよー」
「はいはい。そんな急ぎとか聞いてないんだけど」
「だって鬼さんが首をながああああくして待ってるし。遅れたら殺される」
「え、私殺されるの？」
「いやFBが」
「良かった通常運転だ」

しばかれるFBの姿が目に浮かぶ。
さあ行こう！と肩を掴まれて扉に身体を向かされた。ちょ、待って待って！
慌てて国王さんの方に一礼をする。

「っ何かあれば連絡をください」
「ああ、気を付けて行ってきなさい」

小さく笑って答えた国王に、再度一礼をして、グルッペン氏とトントン氏に一礼をして部屋を出る。

「とりあえず、服着替えて来るから、な、ん！？」

部屋を出てすぐに、きっくんに抱き上げられてしまった。意味が分からない。
ずんずん進んでいくことで揺れて落ちるかもしれない恐怖で、首に手をまわして距離が近くなるが気にしていられない。

そのまま裏口に停めてあった馬車に乗り込むまできっくんに無言で運ばれた。怖いお。
馬車が国を発つ前に、必死で、持ち物！私物持ってくる！めっちゃ大事！となんとか説得して持ってこれた。
きっくんが不機嫌な理由が分からない。こいつなにせい……女みたいな顔してるが違うか。