戦いのあとに ページ8
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放課後になると、研究熱心なA組の生徒達は自発的に訓練の反省会を始めた。
熱心に語り合っている輪に加わりながらも、Aは常に視界の隅で勝己の姿を追っている。
勝己の表情にはいつもの覇気がなかった。
訓練での出来事がよほど身にこたえているのか、暫くの間は押し黙ったまま席に座っていたが、やがて荷物をまとめるとクラスの面々が止めるのも気にせず教室を出て行った。
「Aちゃん…追いかけなくていいん？」
『えっ？』
お茶子が心配そうに言うので驚いて顔を上げると、お茶子だけでなく他の女子生徒もチラホラ心配そうにAを気遣う素ぶりを見せた。
『あはは……ね。どうしよう。相当落ち込んでるねえ、あれ…』
落ち込んでいるのはAも同じだった。
それを必死に悟られぬように明るく話そうと努めているが、Aが無理をしているのは存分に伝わっている。
その時、教室のドアが開き、顔を覗かせた人物がいた。
保健室から治療を終え帰って来た出久だった。
「おお緑谷きた！おつかれ！アツかったぜおめー！！」
「よく避けたよー！」
「一戦目であんなのやられたから俺らも力入っちまったぜ！」
賞賛の集中砲火を浴びながら、戸惑い半分、嬉しさ半分といった様子で出久が応じる。
リカバリーガールの治癒能力を持ってしても治しきることのできなかった右腕が痛々しく、思わずAが顔を歪めた時、ガチリと出久とAの視線が合わさった。
勝己と出久のやり取りはAもモニター越しに聞いている。
勝己の叫びは、Aの心の叫びでもあった。
申し訳なく思っているのか、怯えているのか、どちらにせよ、気の弱い色が出久の瞳に揺れていた。
AもAで、出久の秘密を盗み聞きしてしまったことに対する引け目がある。
無言の攻防が続き、そのあとどちらともなく静かに視線は離れた。
「あれ！？デクくん怪我！治してもらえなかったの！？」
「あ、いやこれは僕の体力のアレで…あの麗日さん…それより、かっちゃんは…？」
「皆止めたんだけど、さっき黙って帰っちゃったよ」
その言葉を聞くや否や、ありがとうとだけ言い残して出久は走って教室を出て行った。
勝己を追いかけていったのだと誰しもがわかった。
教室に残されたメンバーがAを見つめる。
『…やっぱり私も行く！みんなまた明日！』
視線に背中を押されるように、Aも立ち上がると、自分のカバンだけを引っ掴んで、教室をあとにした。
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
