第四幕 下 1 ページ1
* * *
探索兼囮組はまずせつ子から貰った地図の確認を行っていた。
「そんな複雑じゃねぇが1階に不確定要素が多いな。探索組は1階を調査、囮組は2階で△頭を引きつける方式でいくぞ。」
「『移動回廊』の件はどうします?」
「……“なるべく使わねぇようにする”。」
「どういう事?」
疑問を投げかけたアンビルク以外の二人も、中也の云ったことの意味を図りかねていた。
「まだ『移動回廊』の出現条件が詳しく分かってねぇってことだ。『移動回廊』が現れたらを絶対に通らなきゃ行けないのか、それとも1回扉を開け直せば無くなるのか。それに通らなければずっとそこにあり続けて他に現れなくなる可能性あるはあるのか。
1階の探索組はそこも確認。2階の囮組は△頭を引きつけ続けるためになるべく使うな。2階はどの部屋も扉が二つあるから使わないで済む筈だ。やむを得なければ遠慮なく使え。」
「…な、なるほど。分かりました」
オスヴァル同様ペールもアンビルクも頷いて地図を頭に叩き込む。
「……1階のここ、まだ確認してないわよね?
あの子、隠し部屋があるって、なんで知ってるのかしら……」
アンビルクの指差した間取り図は、1階エントランスホールの左側、食堂から広間を挟んだもう一方の区画のところだった。
「まぁそこが控室だというのは分かるとして…、部屋の大きさとか比率とか…、これ、一体どこまで正確なんだ……?」
ペールの声はせつ子の描いた間取り図を疑っているものではない。寧ろ根拠が無いにも関わらず、正確性を感じられるこの間取り図に畏怖の念を示しているものだった。
「…、1階探索組はこの間取り図を持っていけ。俺は一応頭に入れた。2階で囮しながら探索も済ませてくる」
「組み合わせは…、まぁ、探索をオスヴァル君とアンビルクさんに任せるのが妥当でしょうか」
「そうだな。それでいいだろ。」
「分かりました」
「分かったわ」
この間きっかり五分。
《りある鬼ごっこ》が、再開される。
* * *
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なすこん | 作成日時:2018年6月15日 23時