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それからというもの、私が遠慮しても構わず
ほとんど取ってくださった
「 すいません、取って頂いてしまい 」
剛「 怪我させるわけにはいかないですから 」
「 有難うございます 」
剛「 せっかくですし、ここで少し食べて行きませんか? 」
「 はい! 」
ぶどうの木の近くに、恐らくここで食べて下さいという感じのテーブルと椅子がある
そこに腰掛け、巨峰というぶどうを食す
「 え、めっちゃ甘い! 」
剛「 ここの糖度は高いらしいですよ 」
「 本当に甘くて美味しいですね! 」
ふたりであっという間にペロっとひと房たいらげてしまった
健ちゃんの分のお土産を手から下げ、車に乗る
剛「 イタリアンは好きですか? 」
「 はい 」
剛「 良かったです 」
「 どうしてですか? 」
剛「 ディナーはイタリアンを予約したので 」
着いた先はビル街の中にある高級そうなホテル
最上階にあるレストランも気品溢れるもの
──────
「 本当に今日は有難うございました 」
剛「 いいえ 」
「 久々に楽しかったです 」
剛「 私もです。今日はゆっくり休んで下さい 」
「 はい、有難うございます 」
剛「 それでは、おやすみなさい 」
「 おやすみなさい … 剛典さん、 」
剛「 …… 」
" バタンッ "
そう言ったら彼が車から降りてきた
「 あれ?帰るんじゃn … 」
あれ?なんでだろう?
私は今、彼の腕の中にいる
剛「 … 名前 」
「 え? 」
剛「 初めて呼んでくれたね 」
肩を掴まれて真正面で対岸する
剛「 ありがとう 」
頭を撫でてくれた彼は車に乗って帰って行った
私はただ呆然と立ち尽くす
抱きしめられた瞬間
確信はないけど、彼からは悲しい闇を感じた
彼もまた
私と同じ定められた運命の下で生きている
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作者名:優人 | 作成日時:2017年8月10日 1時