無限大 short 3

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「 …… っ 、… くら、おー くらっ」




好きだと言った。
愛してると言った。

絶対離れないって言った！


なのに、なんでお前はそばに居らんのっ？





止め処なく溢れる涙。

捨てられない大倉の持ち物。

服だってアクセサリーも枕もおーくらの匂いがする毛布も。

抱き締めて、泣き疲れて眠る。


今はまだ、今だけ。


起きたらちゃんとするの頑張るから。

ちゃんと仕事もするし、ちゃんと笑える。


だから、ひとりの時はそっとしておいて欲しい。






夢を見た。


久しぶりに、大倉の夢。


大倉が笑ってる。


俺はそれだけで嬉しかった。

たとえ大倉が俺の隣にいなくても、
大倉が生きて笑っているだけで俺は倖せやから … 、



この恋は悲恋ではない。


好きな人が倖せならそれだけでいい。



愛してる。


小さく呟いて、俺はゆっくりと目を閉じた。









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ヤス。

ヤス。



揺さぶられて目を覚ますと、心配気に俺を見るおーくらの眼差し。




「なんで泣いてるん？」



話し掛けて髪まで撫でる優しい手に、

とうとうこんなリアルな夢を見るようになったんかと半ば呆れてしまう。



でも、大丈夫。
すぐに醒めるから。



「 … おーくらがしんでしもーて、それ認められんへん俺はずっと泣いていて、でもちがう世界では大倉は生きていて。でも、別の人と付き合ってるねん … 」


「なんや、それ。俺がしぬん？ で、誰かと付き合ってるん？」


「うん。そんでな、おれっ、大倉が生きてて良かったなぁって思ってん。その世界では俺とお前は恋人同士やないけど … っ、大倉が倖せならそんだけでいいって …っ！」


「お前どんだけ俺のこと好きやねん」


口調は揶揄いを含んでるのに表情は優しい微笑み。


好き。



「 … 好きや。大好きやで。やから、… やからっ、もう俺のそばからおらんくならんとって 。俺以外の人のとこなんて行かんといて」



零れ落ちる涙と愛しい言葉たち。



「ヤス？どうしたん？そんな泣くなって… 」



困った大倉が俺を抱き締めて、温かい。


大倉の匂い。
好きな匂い。



「アホやなぁ。俺がおらんくなる訳ないやろ？」


心配せんでも俺はヤスくんのもんやし。


「 ── お前も俺のもんやろ？」



背中をよしよしとされ、あやされる。

子供にするようなそれにひどく安堵して笑みを浮かべると、頷いた。









俺を救えるのはおーくら、ただひとりだけ。








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END

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