無限大 short 3

たとえばの話 ページ5

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朝目覚めると自分が泣いている事に気づいた。



悲しい夢を見た訳じゃない。

だけど無性に悲しい、寂しい気持ち。



ああ、そうか。


広いベッドを見てわかった。


もう、おーくらがいないから。







「いってきます」


いつもと同じ、なんら変わらないある日の事だった。

いつもと変わらない柔らかな笑みを浮かべて俺とは別の仕事へ先に出掛けた大倉は。

たまたまその日は電車で行くからと、駅へ向かう途中で信号無視をした自動車にはねられてしまった。



知らせを受けてやってきた病院の地下、ふらつく足取りを支えてくれたのは信ちゃんやった。

一緒に来たマルも横山くんもひどく暗い顔をしていて、寝台の上の大倉は真っ白な顔をしてて 触ったら冷たくて── 、


そこで記憶が途絶えてしまった。






ひどい夢。


朝目覚めると俺はやっぱり泣いていて、現実を知るんだ。



おーくらがいない世界なんて意味がない。


泣いて泣いて起き上がれない俺を叱って欲しい。

抱き締めて欲しい。

悲しい。辛い。寂しい。しんどい。


こんな俺を救えるのはもうここにはいない大倉でしかないのに、なんでお前はいないんだ。


そう思ってまた涙が溢れて何もない時はずっと泣いているしかなくて、食べることも眠ることも出来なくなって、

それなら、大倉のそばに行けるかなって。


それに気づいた信ちゃんが俺を見て泣いた。

泣いて、怒ってくれた。


マルが温かいお粥を作ってくれて、おにぃは話を聞いてくれた。


大倉がいなくても生きていかなくてはいけない。


うん。
そうやね。


じゃなきゃ大倉が悲しむから。


メンバーに支えられ、疎かにしていた友人からの連絡にも応えるようになった。

仕事だって熟して、疲れた方がよっぽどいい、
余計な事を考えずに済むから。




だけど、朝は来る。


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