37 ページ37
.
新大阪駅に着くと改札口の前で待つ。
時間は午後8時を回っていた。
疎らに人々が行き交う中、章大を見つけた。
俺に気付いた章大も笑顔を浮かべ改札を通ると、
「おかえり」
「ただいま」
疲れたやろ?って章大の背後に回って車椅子を押す。
「新幹線で少し寝てしもたー」
「だからか、ここ寝癖付いてる」
跳ねた箇所に触れると、ほんまにっ?って章大が慌てて髪を押さえるから手が触れ合う。
その手を掴んでぎゅっと握ると、
「会いたかった」
素直にそう言う。
「おん。俺も会いたかった」
「 ところで、渋谷さんは?」
「報告書出すからって会社戻ったん。俺は忠義が来てくれるって言うたら直帰許可おりたからラッキーやったわ」
そやったんや 、ってタクシー乗り場に着くと、
「忠義の家行ったらあかん?」
「 え?別にかまへんけど、荷物あるやろ?それに明日も仕事ちゃうの?」
俺の問いに、ああそうか ってなんか上の空の章大の返答。
「明日は渋やんが公休にしてくれたん。忠義は?いつも通り仕事やんな」
「うん。けど、章大の家から出勤してもいい?」
「 ええけど … 、週末は用事あるん?」
「ないよ。なんで?」
なんでそんなん聞くんやろ?って思いながら、
「仕事終わったらそのまま章大ん家行くし、おかえりって言ってくれへんかな?」
「 えっ!?」
「 … 驚き過ぎやろ。逆に俺がびっくりしたわ」
「だって、この2週間忙しそうにしてたから、自分ん家の方がゆっくり体休められるんちゃうかなって」
「章大といる方が疲れ取れるし」
「 またそんなん言って … 」
「いや、ほんまやし!その代わり、抱き枕にしたらごめん」
揶揄すると章大はくすりと笑って、
「それくらいいいよ。俺もきっとそうするから」
あ、いつもの章大や。
直感的にそんなん思って、
「 章大 」
何っ? て、顔を上げたところで ちゅって唇にキスをした。
「 … 公共の場やし」
「上目遣いで睨むん可愛いしかないしー。
誰もおらんくて良かったー」
「 もぉ … 」
「あかんて、章大。キスだけじゃ済まへんくなるよ」
帰ったらすぐ章大と触れ合いたい。
そして、章大は俺のもんやって安心したいねん。
会えなかった分、愛し合いたい。
この不安を杞憂だと確かめたい。
「 … なら、早よ帰ろ」
.
299人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chugi(プロフ) - mayufujiyoutomoさん» いつもありがとうございます^ ^ 遅筆なのが申し訳ないのですが、待っていて下さる人の有り難みがひしひしと伝わっております。あったかいv まだまだ続きますのでまたお越し下さい(*^^*) (2020年4月2日 20時) (レス) id: f4059ec95f (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - 更新楽しみにしてました。これから先どんな展開なのか・・・ドキドキワクワクします。 (2020年4月2日 0時) (レス) id: e94c7fe551 (このIDを非表示/違反報告)
chugi(プロフ) - みさん» くらやすさんの好き好きがお伝え出来たのであればムフフv でございます^ ^ もうすぐ別展開が起こりますので暫しお待ちを! (2020年3月11日 7時) (レス) id: f4059ec95f (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - はわわわ、2人のやり取りがほんとにきゅんきゅんきます!!! (2020年3月11日 3時) (レス) id: ac9357cec1 (このIDを非表示/違反報告)
chugi(プロフ) - みさん» リアルでも倉安さんくらやす過ぎて幸せですよね^ ^ ありがとうございますv まだまだ盛り上がっていきましょーv! (2020年2月20日 7時) (レス) id: f4059ec95f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:chugi | 作成日時:2019年10月27日 11時