perfect world 2

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「 おい、大倉 っ！」


突然呼ばれて我に返ると、描き掛けのトレースの線が歪んで薄い用紙もぐちゃぐちゃになってしまっていた。


「お前なに居眠ってんねん」


すぐ側に横山くんが居てびっくりした。


「す、すみません … 」

「 夜遊びしてるわけではないと思うけど、… お前 、大丈夫なんか？」

「はぁ、大丈夫です。ちょっと寝不足なだけやから… 」

「 寝不足？ 学生と違うんやし自己管理くらいちゃんとせーよ？」

「あ、はい … 」


欠伸が止まらへん。

連夜の介護士資格の勉強と日中の仕事の忙しいのが重なって疲れが出てきている。


あかん、なにやってんねんやろ、俺。


「 すば るんとこと合同でする東京の件やけど、納期が早まりそうやからいつでも入れるように準備だけはしとけよ」

「… ほんまに？ 」


章大と2人で任される予定の仕事やった。


しっかりせなあかん。


東京。

マルとのやり取りを思い出して暗い気持ちになる。



錦 戸 亮が婚約を解消した。帰国してるん。
── 章ちゃんに会いに来るかもしれへん。






章大はまだ知らないはず。

錦 戸もきっと章大と連絡は取っていないはず。


はず 、やなんて、

そう思うのは、章大に確認する事ができひんから。


もし章大が知ったら？

もし錦 戸が章大に会いに来たら？


章大がどうするんかわからんくて不安でいっぱいになる。


もう終わった事やと言う？

でも、まだ錦 戸が章大のこと好きやったら。


章大はどうするん？


考えても考えても堂々巡りで答えが見つからへん。

それは、章大に聞けへんから。


信じてない訳やない。

章大がどれくらい俺の事を想ってくれてるんかわかってるつもりや。


俺に、自信がないから。

ただそれだけやった。



ぐちゃぐちゃになった用紙を伸ばす。


けど、今の自分みたいやと、

丸めてゴミ箱に放った。



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「 忠義 、ちゃんとご飯食べてる？」

「うん。今日は横山くんとラーメン食べたよ」



駅前のあそこ美味しかったからまた一緒に行こうな、って画面越しの章大に笑い掛ける。

仕事とセミナーが終わってからの帰宅で風呂も済ませてからの章大との電話。


「章大は何食べたん？」

「俺は渋やんとクライアントの人で中華行って四川麻婆豆腐食べたよ。ちょうどいい辛味でほんま美味しかったー」

「 お互い中華やな」

「あ、ほんまやね」


笑う章大はいつも通りで変わった様子はない。


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