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連絡先を交換してから、3日が経った。
携帯の画面の、としみつのアイコンを見つめる。
連絡は一度も来ない。
そりゃそうだよね。
別に用事もないしね。
こっちから、連絡するべきなんだろうか。
でも、迷惑だよね。
無視されたら立ち直れないなぁ。
なんで、連絡先聞いてくれたんだろう。
同じことをぐるぐる考えながら、この三日間、としみつのLINEを開いたり閉じたり。
電車が地元の駅に着いて、携帯を閉じる。
また今日も、連絡できそうにない。
電車を降りて、改札を抜ける。
駅の階段を降りていると、ポケットの中の携帯が鳴った。
画面の通知を見て、思わず階段の真ん中で止まる。
[なにしてんの?]
としみつから。
慌てて携帯を開き、返事を打つ。
[電車降りて歩いてる!]
なるべく普通に。
シンプルに返す。
連絡をくれたのが嬉しくて、携帯を握りしめる。
握りしめた携帯が、また鳴った。
[俺も]
え?
どういうこと?
半信半疑で周りを見回す。
姿は見えない。
今降りてきた階段を、そっと見上げる。
『えぇ…?』
階段の一番上に、携帯片手にこっちを見下ろす、としみつの姿。
うそでしょ。
いつも、ばったり遭遇できますようにって祈りながら生活してるのに。
一度も出会えたこと無かった。
こんなことある?
とんとんとん、と階段を降りてくる。
と「やっぱり。Aっぽい奴いるなって思って」
驚きすぎて、言葉が出ない。
そのまま私の横を通過して、三段降りたところでとしみつがこっちを振り向いた。
と「…行かねーの?」
突然現れた推しに、私は完全に停止していた。
『あ、うん』
慌てて階段を降りる。
としみつは私が追いついたのを見て、また歩き出す。
二人で並んで道を歩く。
え、これどうしたらいいの?
としみつを、ちらっと見る。
まっすぐ前を見て歩いている。
一緒に歩いてていいのかしら。
『…あの』
と「ん?」
『写真、撮ってください』
と「え?…いいけど、なんで?」
『あ、いやごめん。ばったり遭遇したら、なんて言おうって、いつもシミュレーションしてて』
と「写真撮ってくださいって?言おうと思ってたの?」
驚いた顔で立ち止まっていたとしみつが、ははっと笑った。
と「いーよ。撮ろ」
何か話さなきゃと思って、思わず口走ったけど。
意味わかんなすぎてじわじわ恥ずかしくなってくる。
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こは(プロフ) - 胸が…ぎゅーーーってなった……すきです…ありがとうございました…(?) (2020年4月23日 12時) (レス) id: 78e7bcbdad (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - う、うわぁ、ありがとうございます、ちゅっちゅさんの文才ありすぎ羨ましいです、、、頑張ります泣 (2019年7月19日 8時) (レス) id: f2a0ee3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ぴさん» ぴさんの見てます!(笑)がんばってください(笑)ありがとうございます!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 何回読んでもキュンキュンさせられます! (2019年7月13日 1時) (レス) id: af508cf9f8 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - キュンキュンが止まらない作品でした!ありがとうございます!また新たな作品も楽しみにしております! (2019年7月12日 7時) (レス) id: 08df1f4a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年6月12日 1時