アソビゴコロ３【川村壱馬】

声 ページ16

.




『あの、えっと…どうしても？』


壱｢なんでもするって言ったじゃん｣


『で、でも…』


壱｢あーあ、まじいてぇ。血溢れそう｣


『あ、う……』






壱馬先輩に 何でもします は絶対言っちゃいけない言葉だったかもしれない

にや って妖しく笑ったと思ったら
一瞬でわたしを自分の膝の上に乗せ
べ、と舌を出した

切れたのは唇かと思ってたら
どうやら舌だったらしい

わたしのせいで、舌噛んじゃったって
そんな危ないこと…わたし最低…

へこんでたら、壱馬先輩からものすごいお願いごと
" 血、止まるまで舐めて " って
びっくりしすぎて何も言えなかった

だって、だって舐めてって
べっ…べろちゅーと同じだもん…！！
むりむり って言ったら
低い声で名前呼ばれて動けなくなる

この声、弱いの
何も出来なくなる
従ってしまう
それを壱馬先輩、分かってるの






壱｢…早く。俺、お前に話あんだって｣


『…せ、せめて目つぶってください』


壱｢しょーがねぇなぁ…、とでも言うと思った？｣






目を閉じる振りして
わたしの首に腕巻き付けて顔を寄せた

こんな距離で
かっこよすぎる壱馬先輩のこと見ただけで
わたしの心臓大変なのに
舌、舐めるなんて…






壱｢…痛いなぁ、舌。誰のせいでこんな、｣


『誠にすいませんでございました』


壱｢わかってんなら…やれよ｣






出された舌がわたしの下唇に触れた
…わたしのせいだもん
が、頑張るんだわたし…！！

壱馬先輩の視線を間近に感じながら
ゆっくりと舌先を下唇にある壱馬先輩の舌に触れさせた

いつもしてもらってるから
自分で触れるのじゃわけが違う

動く度に電流走るみたい
力が抜ける
恥ずかしくて、ドキドキして
目尻に生理的な涙が浮かんできた

ある場所で血の味がして
怪我してる場所、ここだって思って
なるべく優しく触れた

ちら、って壱馬先輩見たら
驚くほど優しい瞳でわたしのこと見てた

ばっちり目が合った時
目を細めて微笑んで
指で滲んだ涙拭ってくれた

一気に体温上がって
全身が熱い

もう壱馬先輩のこと見れなくて
こんな状況でさえ 好き って気持ちが溢れてきて
思わず壱馬先輩のシャツ ぎゅ って握った

そしたら首にあった腕を腰に移動させて
体ごとわたしを引き寄せた






壱｢…ほんと、お前たまんねぇわ｣


『…え、？』


壱｢なぁ…、いい？｣






壱馬先輩の手がスカートに触れた時
生徒会室のドアが開いた




.

夏の思い出→←なんでも

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す