アソビゴコロ３【川村壱馬】

天使 ページ12

壱馬side.




朝目が覚めたら
俺の方を向いて小さくうずくまりながら
寝息を立てるAがすぐに目に入った

俺の腕は抱き寄せるようにAの背中に回されていて
向かい合ったまま寝て
寝返りもせずに朝ってわけか、ってひとり微笑する

幼い寝顔からは昨日の色っぽさなんて微塵も感じられない
求める度、応えてくれて
苦しくなる度、包んでくれたから
時間をかけてゆっくりゆっくり愛した

Aの芯まで俺になるように
俺以外入り込めないように

カーテンの隙間から眩しい陽射しが差し込んできてて
Aの頬を照らしてる

柔らかそうな白い肌
…あ、俺がつけた跡発見
無垢って言葉が似合う姿に頬が緩む自分がいて
どうしてしまったんだろう、と不思議になる

俺は…変わったんだろうか
いや、変えてくれたんだ…

こんなに小さな体で
愛することと愛されることを教えてくれた

今この気持ちを、幸せと呼ぶんだろうか
温かくて、手放したくない

こいつは俺に幸せも、運んできてくれたんだ






壱｢…お前は、天使かよ｣






柔らかくデコピンして呟く

ふにっふにの唇に触れながら
少しだけ腫れてる気がする瞼にキスを落とした

薄く開いた唇に親指入れたら
濡れた舌に触れた

…やべ、変な気分になってきた

どうやって起こそうか考えてたら
遠くで電話の音が聞こえた
この音は、俺じゃない
こいつの携帯だ






壱｢誰だよ…｣






無視するのもどうかと思って
下だけ履いてバッグを漁って携帯出した

吉野先輩 って表示されてて
穏やかだった気持ちが一気に沈む

あいつ…何の用だよ






壱｢…なんすか｣


北｢あれ、壱馬おはよう。ってもう昼だけどね｣






…昼？

あー…やべぇ
学校サボらせちまった






北｢2人でいるんだろうなぁっては思ってたからびっくりはしないけど、ちゃんと話せた？｣


壱｢言われなくても｣


北｢えっ！じゃあ、ついに恋人に…｣


壱｢は？なってねぇから。あいつは玩具｣


北｢…意気地無し｣


壱｢…うっせ｣


翔｢壱馬〜！せっかくの記念日だと思ってケーキでも用意しようかと思ってたんやで〜？｣


壱｢はぁ！？いらねぇよ、そんなの…！｣


翔｢照れとる！壱馬が照れてんで！｣


北｢かわいいなぁ、壱馬｣


壱｢…今日はもう学校行かねぇから。じゃあな｣






待って、とかなんとか言ってる2人の声を無視して電話を切った
恋人…になんか

Aみたいにばか正直に気持ち伝えらんねぇやつだっているんだよ、




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