アソビゴコロ３【川村壱馬】

何度も ページ11

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『壱馬先輩は…ひとりじゃないよ、』


壱｢…っ｣


『吉野先輩も岩谷先輩も…、壱馬先輩のこと大好きだよ…っ？』


壱｢…、｣


『わたしは…もっともっと好き…！この世界中の誰よりも、壱馬先輩のことが大好き、！』






壱馬先輩の頬を流れる涙が
見たことないくらい綺麗で

壱馬先輩の震える腕が
感じたことないくらい冷たくて

きっとずっと
ひとりぼっちで苦しんできた

いちばん愛されたい人に愛してもらえない
そして、愛する人の死は自分のせいだと
自分を追い込んでた

壱馬先輩は
ずっとずっと、自分の 本当 を見て欲しかった






『わたしが、愛するから…っ』


壱｢A…っ｣


『お父さんよりお母さんより、叔父さんよりもララハさんよりも吉野先輩よりも岩谷先輩よりも…！！』


壱｢A…、｣


『わたしが壱馬先輩のことめちゃくちゃに愛するからっ…！！』






どうしたら伝わるんだろう
どうしたら壱馬先輩の苦しみをなくせるの？

壱馬先輩が抱えるもの
全部わたしが背負うのに

そしたら壱馬先輩は
きっと誰よりも綺麗に笑うでしょ？






壱｢……で、｣


『…なあに？』


壱｢行かな、っで…！｣






縋り付くようにわたしの制服を掴んで
何度も何度も

行かないで
ごめんなさい
お母さん
お父さん

って

…たまに焦ったようにわたしを探してたのは
お母さんとお父さんを重ね合わせて見てたんだ

起きたらいなくて
必死に探してもどこにもいない

大好きな2人は
壱馬先輩の前から姿を消した

狂ったようにわたしの名前を呼んでいたのは
きっと今の壱馬先輩だけじゃない
昔の、まだ小さい子どもの壱馬先輩も混ざってた

辛かったよね、
寂しかったよね、

わたしじゃ全ては分かってあげられないけど
今この瞬間から、壱馬先輩を守って包んでいけるから

泣きじゃくってる壱馬先輩を優しく優しく包み込んで

大丈夫
ここにいるよ
大好きだよ
ずっとそばにいるよ

って繰り返し繰り返し伝えた


次第に呼吸も落ち着いてきて
壱馬先輩の体の震えが止まった

体を離して壱馬先輩を見たら
初めて見る表情をしてて、思わず息を飲んだ






壱｢…泣きすぎ、ぶす｣


『…人のこと言えないです』


壱｢…ははっ、そうやろな｣






目尻をくしゃってして笑って
わたしの頭を撫でた






壱｢お前は…すごいな｣


『…ううん、』


壱｢俺にもお前のこと…Aのこと、愛させて…？｣






そう言って、下から掬い上げるようなキスをくれた




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