アソビゴコロ３【川村壱馬】

愛されてる ページ29

壱馬side.




壱｢パパに、もっと遊んで欲しいよって。ママに、もっと構って欲しいよって。…いつ言えなくなるかなんて、分からんねん｣


れ｢ぱぱと…ままに？｣


壱｢そう。れんとは、絶対愛されとるから。れんとのこと、ずっと見てるから｣


れ｢…わかった｣






れんとに言ってるようで
自分に言い聞かせてたのかもしれない

俺はもう無理だけど
れんとはまだ間に合うから
寂しさを隠してるなんて勝手な憶測だけど
何も言わないよりはましだと思うから

見つめてくるれんとに微笑み返して頭を撫でた
れんとの奥にいたAを見たら
なぜか涙ぐんで唇を噛んでた

なんであいつが…

れんとを連れてAのとこに行こうとしたら
あ！！と大きな声が聞こえた

聞こえた方を見たら
焦ったような顔をした女の人が子どもを抱いて
駆け寄ってきた






れ｢まま、！｣






れんとが小さく呼ぶと
ママと呼ばれた人は膝をついてれんとを抱きしめた
1人にしてごめんね、と何度も謝っている
れんとは泣くのを我慢してるようだった






壱｢…れんと、我慢しなくていいんやで｣






抱きしめられながら俺を見て
じわじわと瞳に涙を溜めてからポロポロと泣き出した

…まだ5歳なのに
遠慮とか覚えちゃうんだな、

とりあえず良かったか、と思って顔を上げたら
Aが案の定泣いていた

さっきから何の涙なんだよ…






母｢あの、うちのれんとがお世話になったみたいで…｣


『あっ、いえ…っ！ぐす、無事に会えて良かったです…！』


母｢ありがとうございます、ありがとうございます…っ｣






れんとの母親は俺らにまで丁寧に頭を下げた

…ほら、ちゃんと愛されてる
あとはれんとが素直になれば大丈夫

Aとれんとがバイバイしてるのを見てたら
れんとは急に俺のとこに近づいてきた






れ｢かずま｣


壱｢ん？｣


れ｢ありがとう！｣


壱｢…ん｣






満面の笑みで見上げてきたれんとに少し照れくさくなって
無愛想に返事をしてれんとの頬を引っ張った

そうして親子と別れ、一段落






壱｢ったく…、なんでお前は泣いてんだよ｣


『なんかっ、いろいろ…考えちゃって…っ！』


翔｢まぁまぁ、まだ時間あんねんから遊ぼ！｣






俺が親に愛される時間が少なかった分
今隣にいるAがたくさん愛してくれてるのだろうか

そう思ったら、胸の奥がじわりと温かくなった




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