せんせ ページ9
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双子ちゃんたちを保育園に送って
星羽くんと無言で歩いてた
いつもあんなにお喋りしてくれてた星羽くんが
何も言わない
『星羽、くん。わたし、壱馬先輩のとこ…行ってくるね』
星「…うん」
『あと、いつまでもお世話になる訳にもいかないし…後から荷物取りに行く、から』
星「…うん」
『じゃあ…行って、きます』
俯いて何も言わない星羽くんを気にしながらも
壱馬先輩のお家に行くために左に曲がった
こわくないと言ったら嘘になる
ほんとは星羽くんについてきて欲しいけど
逃げ道を作るようなことしたくない
星羽くんは…わたしが頼ったら
どこまでも優しくしてくれるだろうから
星羽くんには星羽くんの人生があるんだもん
今しかない高校生活を
わたしで埋めていいわけがない
星羽くんだって、ちゃんと恋愛して
素敵な子と結ばれなきゃ
あんなに頑張ってるんだもん
それはもう素敵な人じゃないとね
『…っ、!』
星「ごめん…っ」
ぎゅ、と後ろから抱きしめられて足が止まる
安心させるための優しいハグじゃない
縋りつくような…いつもとは違うもの
『星羽、くん?』
星「なんかもう俺…、ずっと変で!性格悪いことばっか考えちゃって…。こんな自分ムカつくし嫌なんだけど、どうしようもなくて…っ」
『星羽くんは…性格悪くなんてないよ?』
星「ううん…。サイテーなこと考えてる。だってほんとは…」
『…うん?』
星羽くんが考えてること
全然わからなくて
わたしを抱きしめる腕をぽんぽんすることしかできない
理由はわからないけど
自分を責めてるように思ったから
わたしができること、これくらいしかないから
星「…俺、壱馬さんもAせんせーもだいすき」
『え…、ありがとう?』
星「しょおって、呼んで」
『…星羽くん』
星「ちがう、しょお」
『…呼んだよ?』
星「そうじゃない。朝呼んだじゃん」
『あ…、えっと、しょお…?』
星「……なーに」
『呼んでって言ったんじゃん…!』
星「返事したかったんだもん。許してよ」
する…と腕を解いたから
振り向いて星羽くんを見た
眉を下げてちょっと照れくさそうに
真っ直ぐわたしを見つめてて
ねぇ、せんせ と微笑む
星「来年、俺の高校来てね」
『え?』
星「先生にはさすがに手出せないから。早くちゃんと俺の先生になって」
いってらっしゃい! って笑って
わたしに背を向けた
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ka - 最後のセリフ最高です、、泣 (2020年8月7日 2時) (レス) id: f02151f772 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - お忙しい中、更新ありがとうございます(; ;) (2020年8月2日 13時) (レス) id: 3116574168 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 壱馬先輩に嫉妬するのに自分は男の子に頼るのダメよーーー( ; ; ) (2020年7月31日 2時) (レス) id: 4132465481 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 更新ありがとうございます(泣) 主人公ちゃんの気持ち、めちゃくちゃ分かりますー!!色々あったから、不安になっちゃうんですよね…。主人公ちゃんのモヤモヤが晴れますように。 (2020年7月26日 14時) (レス) id: 3116574168 (このIDを非表示/違反報告)
マンゴー(プロフ) - 今日の投稿おしまいですか?? (2020年7月26日 14時) (レス) id: 9c9baad857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもん | 作成日時:2020年5月3日 17時