秘められた恋が叶うまで【G's】

大通り ページ46

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『隼くん…？』






もう少し先に橋がある
渡ろう、

走って橋に向かって渡ってる時
隼くんは逃げるように早足でわたしから遠ざかっていた






『隼くん、待って！』






なにかあったのかもしれない
冗談混じりに｢バンドうまくいってない｣って言ってたから
もしかしたら本当にうまくいかなくなっちゃったのかも

そうだったら放っておけない
隼くんがどれだけ真剣に夢を追っているのか
連絡を取り合ってて
それは十分理解しているつもりだから






『隼くん…っ』


隼｢…なんで外にいんの？｣


『亜嵐くんが…ひとりでも大丈夫って』


隼｢…ふぅん、そっか｣


『ねぇ、隼くん。なにかあっ…』


隼｢関係ないじゃん｣


『…っ、なくない！』


隼｢…ないでしょ。てか、俺に構ってる暇あんの？｣


『な、んで？』


隼｢亜嵐くんとも裕太くんとも微妙なくせに｣


『裕太、くん…？』


隼｢あっ…、なんでもない。とにかく俺のことはほっといて｣


『隼くん、待って…！』






亜嵐くんはまだしも
裕太くんとのことは誰にも話してないのに
どうして隼くんが知ったように言うんだろう

そんなことより
走り出してしまった隼くんを追いかける

とりあえず見失わないように
走りながら亜嵐くんに留守電をした
隼くんの様子がおかしいって
練習終わったら聞いてくれるかな

足が痛くなって
息もしづらくなってきたけど
隼くんは走り続けるから諦めるわけには行かなかった

だけど、左に曲がった場所が駅近くの大通りで
一瞬にしてブレーキがかかった
こんな場所に行ったらどうなるかわからない

迷ってる間に隼くんは人混みに紛れ込んでしまった

…いつもの隼くんじゃなかった
あんな冷たいこと言う人じゃない






『隼くん…』






亜嵐くんなら、隼くんから話聞けるかもしれない
隼くんと亜嵐くん仲良しだから
わたしには話したくないことも
亜嵐くんになら話してくれるかも

…大通りに行っちゃったんなら仕方ない
亜嵐くんとの約束破っちゃいけないもんね

そう思って戻ろうとした時に気づく






『ここ、どこ…』






隼くんを目標に走ってきたから
全然周りなんて見てなかった

あ、そんな時こそマップ！

そう思ってスマホを見たら
亜嵐くんからメッセージがきてた

[電話出れなくてごめん。留守電聞いた。練習終わったら詳しく話聞くわ！]

忙しいのに聞いてくれたんだ
亜嵐くん、早く帰ってこないかなぁ…




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