秘められた恋が叶うまで【G's】

小さな針 ページ44

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練習が終わった亜嵐くんを出口で待ってた
胸のモヤモヤが消えなくて
亜嵐くんのマフラーに顔をうずめた

チリチリ、する
裕太くんと亜嵐くんの顔が交互に浮かんでは消えてを繰り返す
ちゃんと…笑えるかな






亜｢お待たせー！ごめん、寒かったでしょ｣


『亜嵐くん…！ううん、大丈夫』


亜｢裕太くん来ててさぁ、取材で。それでちょっと遅くなった｣


『そ、だったんだ』


亜｢会ったんでしょ？裕太くんが言ってたよ｣


『あ、うん…』






…なにも言うことないのに
言わなければ亜嵐くんは気づかなかったのに
…あ、だめだな
どんどん自分が歪んでいく気がする

モヤモヤして、チリチリして
嫌で、嫌で嫌で嫌で
思わず亜嵐くんに寄りかかった

人が通る出口だったけど
そんなこと忘れるくらい
このモヤモヤを消したかった

恋って
もっと綺麗なものだと思ってたのに
全然そんなことない

わかんないよ
好きの消し方って、ある？






亜｢…A？｣


『ご、めんなさい…』


亜｢いいけど…。あ、これ。裕太くんから｣






亜嵐くんがわたしに渡したのは
チョコとホットミルクティー
この組み合わせ…確か前にも…もらった

どうして？
わたし、裕太くんに好きな物話したことないよ
どうしてこの2つなの？






『チョコよりも…アメが好き』


亜｢ん？｣


『ミルクティーよりも、レモンティーが好き』


亜｢まぁまぁ笑｣


『亜嵐くんは…わかってくれる？』


亜｢…Aのことなら、なんでもわかるよ。わかりたいって、思ってる｣


『…』


亜｢裕太くんとなんかあったことも、｣






ねっ？と軽くデコピンをされた
おでこを押さえたら
困ったように笑いながらわたしを見た

…やだ、そんな顔させたくないの
亜嵐くんはキラキラ笑ってなきゃ






『なんもないよ、』


亜｢えぇ〜？俺に嘘つくのぉ〜？｣


『嘘なんて、』


亜｢そんな顔しないの｣






わたしに渡したチョコとミルクティーを
自分のリュックにしまって
ぎゅ…としっかり手を握った

歩き出した亜嵐くんは
歩きやすい速さで進んでくれる

…どこかのわがままくんとは全然違う






亜｢アメ、買いに行こっか｣


『え？』


亜｢あとレモンティー。アメじゃなくてさ、でっかいキャンディみたいなの買おうよ｣


『亜嵐く、』


亜｢好きだよ｣


『…？』


亜｢Aの全部、大好きだから｣






チリチリした胸に
小さな針が刺さったように チク、とした




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