角砂糖に溶ける夢４【北×樹】

夢のような ページ23

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北｢問題です｣


『はい』


北｢おれたちが最後に一緒に風呂に入ったのは何歳の頃でしょう｣


『え〜…、覚えてないな。幼稚園？』


北｢ぶぶー。小2の運動会の時だから7歳の時｣


『あっ、急に雨降ってきた時だ！』


北｢そう、その時。Aの家の方が近いから一緒に帰って、親に体冷えるから！って何故か怒られながら2人で風呂入るっていう笑｣


『懐かしいなぁ。遊んじゃってまた怒られたよね』


北｢のぼせるでしょ！って笑｣


『今考えたらなんか理不尽だね』






小2かぁ、
そんなに長い時間、ほっくんと一緒に生きてきた

こんなこと普通ないよ
男女だし、何となく疎遠になって
たまに会って 久しぶり とか言うくらいだよ、きっと

それなのに
わたしが思い出す過去には
必ずほっくんがいる

奇跡みたいだね






北｢…おれさぁ｣


『うん？』


北｢…やっぱりなんでもない｣


『え、気になる』


北｢のぼせそうだからあがる｣


『もう？』


北｢お湯熱いんだもん。部屋戻ってる｣


『うん、わかった…』






何言いかけたんだろ

ふぅ、と一息ついて
お湯を掬う

ほっくんと樹くん
そろそろちゃんと…真剣に考えなくちゃいけないな
何となく、答えが出そうな気はしてるけど
まだ不確定な想いだから

真剣に向き合って、好きですって伝えられる日がくるといいな

…ううん、伝えなきゃいけないんだ


露天風呂を出て、部屋に戻ったらなんと真っ暗
ほっくん、もうお布団の中？

あれ、寝ちゃったのかな






『ほっくーん？』






呼んでみたら はーい って穏やかな声が聞こえた
まだお布団じゃなかった
声のした方を見たら窓際に立っていた

窓から見えたのは
紅葉がライトアップされた景色






『うわぁ…、すごい幻想的』


北｢作り物みたいだよね｣


『ね。写真じゃうまく伝わらないんだよなぁ』






スマホのカメラに切り取られる景色は
今目の前にしてる景色とは全然違くて
自分の目で見ることがいかに大事かを感じた






北｢Aと見れてよかった｣


『ほっくん、』


北｢ありがとう、来てくれて。楽しかったね｣


『うん、すごく。ありがとう』


北｢…今ぎゅーしたいって言ったら、おこる？｣


『…おこら、ないよ』






わたしの答えにほっくんは安心したような顔をして
後ろから柔らかく抱きしめた

非日常な空間と
時折うなじにかかるほっくんの吐息に
なんだか夢のような気分だった




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