願わせて ページ37
壱馬side.
一瞬、何が起こったか分からなかった
分かることは確実に誰かが殴られた音
しかも、かなり硬いもの…
血の気が引いた
A…なのか？
そんな、守るって言ったのに
俺は…
ドサ、と何かが倒れ込む音がした
同時にAが俺から離れて視界が開ける
Aの後ろには、金属製のバットを持った本庄がいて
力なく床に膝から崩れ落ちた
Aが横を向いて震えてる
なん、だ…？
見た限り、Aに怪我はなさそう
だとしたら…倒れてるのは…
『お、か…さん…？』
肩を押さえながら
Aの母親が倒れていた
意識はあるし、血も出てない
本庄はきっと、俺を狙った
それをAが気づいて
俺を守ろうと抱きしめた上から
危険を感じて娘を守った…ってことか
とりあえず警察に連絡して救急車を呼び
母親の様子を見る
壱｢…大丈夫。死にはしない｣
『かず、ま…せんぱ…い…、わたし…』
壱｢…大丈夫。だから、泣くな｣
本庄を動けないようにして
バットを遠い所に置いた
このバットは、Aの父親のものらしい
Aは警察と救急車が来るまで
ずっと母親に寄り添ってた
いくらひどい親だったとはいえ
血の繋がったたった一人の母親だもんな
失うのは…怖いよな
警察に簡単に説明をし
詳しい話をするために俺が同行することになった
『わたしが行きます…！』
壱｢なぁに言ってんだよ。お前は母親についててやれって｣
『だって壱馬先輩だって怪我して…っ』
壱｢俺強いから。こんくらい平気だし｣
『でも、！』
壱｢うっせぇなぁ。黙って俺の言うこと聞いとけって｣
軽くおでこにデコピンをして
微笑みかける
壱｢せっかくだから親子水入らずで話でもしてこいよ｣
『話すことなんて…』
壱｢…お前を守った母親だぞ｣
『…、』
壱｢愛されてないわけねぇって｣
な？ と髪の毛をわしゃわしゃと撫でれば
泣くのを我慢したようなへの字の口になる
ほんとは一緒にいてやりてぇけど、ごめんな
これ以上、Aたち親子に変なことさせるわけにはいかねぇからさ
ちょっとだけ、待ってろよ
『終わったら、壱馬先輩も病院来てくださいね』
壱｢おう｣
『…待ってます』
俺は、お前みたいに真っ直ぐな言葉で
誰かを救うことなんてできないから
だからせめて、Aが幸せになれるように…願わせて
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2634人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
北人すきぴ - 更新まってました！！！ (2019年9月9日 18時) (
レス) id: cb30df2db6 (このIDを非表示/違反報告)
Ari - 最高ー！！！ (2019年9月9日 8時) (レス) id: 951d2b0c9b (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - 楽しみに待ってました。更新ありがとうございます。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: c3b198d50f (このIDを非表示/違反報告)
はまはま(プロフ) - 先週更新なくて落ち込んでたら今日やったと！！待ってましたよ〜！！先週しなかったから今日大量に…とかないですよね笑笑 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 702b4d3b89 (このIDを非表示/違反報告)
くるくる - あぁぁぁぁぁ！！！ 大好き。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 0cf3778fb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れもん
| 作成日時：2019年7月14日 21時
