家族 ページ38
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お母さんは肩の骨にヒビが入っただけだった
だけって言い方もおかしいけど…
本庄剛が弱ってたからこの怪我で済んだ
壱馬先輩の…おかげだ
治療が終わったお母さんと一緒に今後の話を聞いて
待合室に戻る
母「怪我は…ないの?」
『わたしは、ないよ』
母「そう、ならよかった」
壱馬先輩が言う通り
あの時、お母さんはわたしを守ってくれた
わたしのことなんて
空気のように扱ってきたくせに
なんで今になって、親みたいなことするの?
母「…A、ごめんね」
『……え?』
母「若い時にAを産んだから…ちゃんと親になれてなかった。自分のことばかりで、全然Aのこと見れてなかったね」
『そんな、こと…』
母「Aはわがままも言わないし、泣かないし、とっても強くていい子だと思ってたの。でも…違うのね。わたしが我慢させてた。寂しい思い、させたね」
『お母さん…』
母「川村くんに言われて、川村くんと接するAを見て気づくなんて…、本当にダメな親」
『壱馬先輩…?』
母「母親面してる、って。その通りよ。独りよがりな育て方をしてきた。お父さんとろくに話もしないで。川村くんと話してるAは…生き生きしてた」
『…、』
母「Aのことが心配で、勝手に様子を見に行った時、あの子…あんなに幸せそうな顔して笑うんだって思ったの。わたしは家族なのに、親なのに、どうして見ず知らずの男といる方が幸せそうなんだろう、って…。変に嫉妬して…」
『そう…だったんだ、』
母「全部、わたしの親としての自覚が足りなかったから…。ごめんね、A…」
ぽろぽろ、涙を流しながらお母さんは話した
『わたしのこと…嫌いなわけじゃない?』
母「娘を嫌う母親がいるもんですか!」
『おか…っ、』
母「ずっと…ずっと大好きよ…。ちゃんと伝えてあげられなくて…ごめんね…っ」
ぎゅう、と優しく抱きしめられる
随分と懐かしい感じ
お母さんに抱きしめられたのなんていつぶりだろう
うれしかった
お母さんにやっと家族だよって認めてもらえた気がして
母「あ…」
わたしから手を離し
涙を雑に拭って、小さくお辞儀をする
先生かな、って思ったら
立ってたのは壱馬先輩だった
顔にはガーゼが貼ってあって
ちゃんと怪我診てもらったんだ、って
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北人すきぴ - 更新まってました!!! (2019年9月9日 18時) (レス) id: cb30df2db6 (このIDを非表示/違反報告)
Ari - 最高ー!!! (2019年9月9日 8時) (レス) id: 951d2b0c9b (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - 楽しみに待ってました。更新ありがとうございます。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: c3b198d50f (このIDを非表示/違反報告)
はまはま(プロフ) - 先週更新なくて落ち込んでたら今日やったと!!待ってましたよ〜!!先週しなかったから今日大量に…とかないですよね笑笑 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 702b4d3b89 (このIDを非表示/違反報告)
くるくる - あぁぁぁぁぁ!!! 大好き。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 0cf3778fb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもん | 作成日時:2019年7月14日 21時