角砂糖に溶ける夢２【北×樹】

時間をかけて ページ40

北人side.




北｢一日ぶりの我が家〜！｣


『おかえり〜』






Aが会社終わりに来てくれて
タクシーで一緒に帰ってきた

今日の行き帰りはひとりにさせちゃったけど
特に何もなくてよかった

おれの荷物の整理までしてくれてるAに
そーっと近づいて後ろから抱きついた






北｢ありがとっ！｣


『びっ、くりしたぁ…。お風呂入ってきちゃいなよ』


北｢腹減ったよ｣


『作っとくから』


北｢味噌汁飲みたいなー｣


『わかりましたー。作るので離れてくださーい』


北｢病人には優しくしてくださーい｣


『勝手に転んだくせに〜笑』






何も言い返せなくて
不貞腐れながらシャワーを浴びた

検査の結果、特に何も異常はなくて
軽い脳震盪だったんだろうって
若干たんこぶあるんだよな
ちょっと痛い

たんこぶを刺激しないようにドライヤーをかけてたら
いい匂いがしてきてお腹が鳴った






北｢味噌汁ー！｣


『あ、まだ熱いから飲んじゃだめ。火傷するよ？』


北｢え〜、ふーふーしてよ｣


『これからよそうから座って待ってて？』






あー…、かわいいな
今のままでも十分に幸せだけど
Aの気持ちがおれに向いてて
奥さんって呼べる関係だったらどうだろう

幸せすぎて、仕事行きたくなくなっちゃうな






北｢A？｣


『んー？』


北｢好き｣






言われた通り、ラグに座って
盛り付けるAの姿を見てた

好きだ、好き

心の中でそう思ってたはずなのに
いつの間にか声に出てた

おれを見たままかたまるA

みるみるうちに顔が赤くなり
バッ！と目を逸らす
…照れてる、かわいい

おれの分のご飯を持ってきてくれる
ありがとー、とお礼を言うと
ほっくん？と名前を呼んできた





北｢なあに？｣


『ほっくんって…誰にでもそう？』


北｢…どういうこと？｣


『その、恥ずかしくなるくらい素直っていうか…すぐ好き、とか言う感じ、』


北｢誰にでもなわけないじゃん｣


『…う、ん？』


北｢Aだけ。Aにだから、言うんだよ｣






いつもみたいに笑って言うんじゃなくて
真剣に、真剣に伝えた

急に 本気で好き って伝えても
たぶんAはびっくりしちゃうだろうから

おれは、時間をかけてゆっくりゆっくり
おれの大切にしてる 好き が伝わればいいなって

そう…思ってるよ




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