角砂糖に溶ける夢【北×樹】 (ページ47)

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トレーナーページ47

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樹｢…ま、Aさんは俺のこと好きじゃないからそんなの無理か｣

寂しい顔をして笑って離れてく
ズキ、と胸が痛くなった

本棚を組み立ててる時も
ずっと痛くて
樹くんのことちゃんと見れなくて
どうやってお話してたのかも覚えてない

いつの間にか、モカ色の本棚は完成してた

樹｢Aさん、ありがと。収納スペースできた｣

『どういたしまして、』

樹｢…手伝いたくなかった？｣

『え？』

樹｢なんか元気なくなったから。ごめ…、｣

『…違うよ、！』

樹｢そ？なら、いいんだけどさ｣

うまく言えないのがもどかしい
何を言ってもぐちゃぐちゃになっちゃいそうで

樹｢そうだ。お礼、持ってくる｣

軽く微笑みながら
たぶん寝室に入っていった

…なんだろう
今になったらお礼なんて申し訳ないな
あと、これ以上樹くんといたら
自分が自分じゃなくなりそう

わたしが知らない自分が、いる気がしてならない

帰る準備をしてたら
樹くんが戻ってきた

Tシャツに着替えてて
手にはさっきまで着てたトレーナー

樹｢はい｣

『…はい？』

投げられたトレーナーを困惑する頭でキャッチする
…え、え？

樹｢すごい俺の服見てたから欲しいのかなーって思って｣

『え！？』

樹｢脱ぎたて。着てみてよ｣

『いやっ…、ちょ、待っ…！！』

樹｢…ふふっ、｣

座るわたしの前にしゃがみ込んで
声を出して笑ってる

…え、なに？

樹｢…あー、笑った。冗談ですよ。ごめん、お礼とか考えてなかった｣

『冗談！？』

樹｢いや、見てるなーとは思ってたけど。俺がただAさんと居たかっただけだから、嘘ついてごめん｣

『お礼なんていいけど…。焦ったぁー…』

樹｢…なんで見てたの？｣

これは…服を、かな
それとも樹くんを？

あぁ、もう
こういう時上手に嘘をつける人になりたい

浮かんでくる嘘は
どれもすぐバレそうなものばかり

『似合って、るなぁ…って思って』

樹｢これ？｣

『うん、』

樹｢…やば、それは予想外｣

セットされた髪をくしゃ…と手で崩したと思ったら
甘い瞳がわたしに向けられる

…逸らせない

だんだん近づいてくる樹くんに
また顔が熱くなる

思わず樹くんのトレーナーで顔を隠したら
香水がふわっと香って
まるで樹くんに包まれたみたいになった

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