角砂糖に溶ける夢【北×樹】

駐車場 ページ29

.




駅に着いて
わたしの分の切符買ってくれた
Suicaあったのに、俺が出すからいいよって言って

だから甘えちゃった

ホームで電車を待ってる時に思い出した
土曜の買い物行けなくなっちゃったって

ほっくんに外出禁止令出されちゃったって






樹｢Aさん｣


『はいっ』


樹｢さっき言わなかったけど、俺といる時はあいつの話しないでって…忘れた？｣


『あ…ほっく、…えと、ごめんなさい』


樹｢覚えててくれたら嬉しいです｣






…そうだった
なんで話しちゃだめなのか分からないけど

しないでって言われたらしちゃだめだよね






『樹くん、あのね』


樹｢なんですか？｣


『土曜日、出かけられなくなっちゃった』


樹｢え…｣


『ごめんね、でも約束したから来週とか…』


樹｢…じゃあ、来週の土曜日。絶対ですよ｣


『うん、ほんとにごめんね』






よかった、
なんで？って聞かれなくて

こういう時の嘘がめちゃくちゃ下手だから

電車が来て家の最寄りまで無言だった
だめだなぁ、ほっくんとは違う
帰りはずっとほっくんの車だったからソワソワしちゃう






樹｢電車疲れませんでした？｣


『うん、大丈夫！』


樹｢またここからちょっと歩きますけど｣


『平気だよ』






あ、またさり気なく車道側歩いてくれる

樹くんって絶対モテたよなぁ
彼女とかいたことあるのかな
このお顔でこの優しさだもん、いたよね

いやでも…ほんとに整ってるなぁ…
眠そうな目がこう…なんか色っぽいというか






樹｢…なんか俺の顔についてます？笑｣


『へっ…』


樹｢前見てないと転びますよ｣






は、恥ずかしい…！！






樹｢Aさんって誰にでもそうなんですか？｣


『…そう、とは？』


樹｢無防備…っていうか｣


『え、どうなんだろ…。抜けてるとはよくほっくんに怒られ…あ！なんでもない！』






あぁ〜、またやっちゃった
話題を変えるように今日の夜ご飯の話をした

樹くん、極たまにしか自炊しないらしい
お家隣だし、ご飯つくって持って行ってあげようかな

そんな話してたら見えてきたマンション
入口に人影があって、近づくにつれて見えてきた人

あ、れ…






北｢A！！｣






わたしの腕を掴んで走り出す
送ってくれた樹くんにお礼を言う暇もなく
駐車場にあるほっくんの車に連れて行かれた




.

嘘→←動悸

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す