呪いと祝い ページ48
「さて……他には何かあったかな?」
「いや、僕からはこれ以上は……」
そこまで言いかけたところで、マールドの意識はふと耀哉の額のそれに向く。
「……それは……アンタの頭のそれは、一体……?」
「あぁ、これか」
その火傷痕のような爛れ、それについて指摘すれば、耀哉は表情は変えずにすぐに応える。
「これはね、私の血筋の問題になるんだけれども……かいつまんで話すのなら、鬼舞辻無惨の呪い、かな」
「呪い……?」
鬼になった直後の脅迫にも近いような脳に直接語り掛けてくる本能の植え付け。
しかし、鬼でもない彼が何故?
「実はね、無惨は私たち産屋敷家の従兄弟にあたる存在なんだ。無惨を生み出してしまったために私たち一族は病に侵されて、少しずつ改善こそしているけれど30まで生きた者はいないんだ」
「……」
呪い、か
呪い、と聞いてマールドが真っ先に思い浮かべたのは、自分を親の仇のように憎しむ栗色の少女の姿だった。
死に際に彼女が残った魔力全てを用いて自分に呪いをかけた。
結果としてマールド自身は呪いを克服し、完全に耐性を手にしていたのだが……
では、「呪い」とは何か?
一般的には特定の人物に災いが生ずるよう念ずることとなる。
しかしそこには、大小を問わず必ず代償が生じる。
例えば、無惨自身の血を依り代に、鬼や産屋敷家に呪いをかけていたのだとすれば……?
「……なぁ、産屋敷耀哉……だったか」
「何かな?」
「……もしかしたら、アンタらの呪いを吹っ飛ばせるかも……とか言ったら、どう思う?」
「……ふふ、成程……やっぱり君は面白い人材だね」
動揺するのでもなく、歓喜するのでもなく。
耀哉は静かに笑っていた。
まるでそれは、マールドがそう言うことが既にわかっていたかのような、そんな笑い方だった。
「お願いしようか。君がどんな方法を取るのかはわからないけれど、君という人物は信頼できるからね」
「あ、おう……んじゃ、失礼したいんだが……」
「あぁ、入ってきていいよ」
屋敷の縁側の中、彼の佇むその傍に、静かに歩み寄って右手をかざす。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時