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不快 ページ45

「本当に釣れない……君がこんなに強情だからもう日が昇ってきちゃったよ」
「お前がこんな雑魚鬼一人殺せない虫だからじゃねぇのか?」
「ほんっと酷い。ここまで純粋な敵意だけで酷い奴初めてだよ」

気が付けば時刻は日の出前。

戦場には無数の氷の棘が突き刺さっては溶けていく。
未だにマールドの体にはダメージなぞ殆ど無かった。
童磨側にも目立った傷は無いとは言え、押しているのはどちらかと言えばマールド側。

何もその差が純粋な才能と相性だけとは言わない。

童磨は十分に強い、上弦の弐の名を授けられる程には。
しかしそれでも、マールドと童磨には——人を食らう鬼達には——明確な違いがあった。

それは、信念、人の想い、そして幸せ。

彼らにどんな境遇があったのか、マールドは知らない。
しかしそれが凄惨な物であったことを推測するのは非常に容易い。
彼らの目の奥には、いつだって渇望があった。

あるいは強さ、あるいは生、あるいは美……
しかし、童磨にはそれさえもない。

心すら持たない人の形をした何か、そんな存在なんて。

マールドは嫌というほど見てきたのだ。

「そろそろ帰らなきゃなんだけど、なぁ……彼女も救いたかったなぁ」
「まだ言うのか……まぁいいさ。」
「……!」

マールドがそうぽつりと呟いた瞬間、童磨は空を見上げる。
太陽はまだ見えない、しかし。

目の前に顕現したそれは、マールドが頭上に展開しているあれは。

おぞましい程に大きく、激しい熱を放つ劫火球。
あれが、マールドの本気。

「太陽よりも早く、僕のこの手で焼き尽くしてやる。」

(……規格外すぎる……!)

地面向けて、己に向かって放たれたそれに、童磨は咄嗟に己の最後の切り札を切る。

血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩

それは、巨大な氷の仏像。
鬼の教祖としての彼を象徴するかのような、最強にして最大の手段。

瞬時に崩れ行くその陰に隠れ、童磨は叫ぶ。

「本当に強いね君! 純粋な実力だけでここまで追い詰められたのは久し振りだよ! 次は絶対に君のことも救ってあげるから! 待っててよ!」

それが捨て台詞なのか、はたまた負け惜しみなのかはわからない。
ただ一つ確かなことは、童磨はこの場を退散したということだけであった。

終幕→←“救い”



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設定タグ:UNDERTALE , 鬼滅の刃 , クロスオーバー   
作品ジャンル:ファンタジー
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/  
作成日時:2023年6月25日 8時

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