【クロスオーバー】失われし決意を探して【アンテ×鬼滅の刃】 (ページ37)

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新たな出会いページ37

目を覚ます。

朝だ。

ごく普通の、平穏な朝。

｢くぁ……随分よく寝た気がする｣

何となく肌寒い。

おかしい、眠った時はまだ暖かったはずなのに。

｢……色々適応しねぇとな……流石に寝すぎだ｣

しかし、悪いことばかりではない。
何となく、鬼の力が馴染んだ気がする。

魔力、というか血？
それも貯まったような、強くなったように思える。

｢……そろそろ降りて狩るか｣

木から降り、とりあえず朝食を取るために町へと向かった。

入るのはいつも通りの定食屋。

｢よう｣
｢おっ兄ちゃんじゃねーか！どこ行ってたんだよ！｣
｢まぁちょっと遠くにな。用事が終わったから戻ってきた感じだ｣
｢そうかい、また戻ってきてくれて嬉しいぜ｣
｢んじゃ鮭大根三つ頼む｣
｢おうよ！｣

どうやら見ないうちに随分繁盛したらしく、かなりの人数の客が集っていた。

やいのやいのと賑やかな店内を見回したところで、ある男女が目に留まった。

一人は黒髪に縞模様の袴を着た男性、もう一人は大量の皿を重ねる見覚えしかない桃髪の女性。

｢……蜜璃……か｣

恐らくは柱になったのだろう。
その目の前に座りその食いっぷりを見守る彼も彼女が見つけた相手なのだと確信し、暫く眺めていたのが悪かった。

｢ふふっ、美味しい……ってあら？｣
｢ん？どうした甘露寺？｣
｢……やべ｣

咄嗟に顔を反らしたものの、着物は変えていないし、特徴的な緑の髪と赤と黄色のメッシュはそのままだし、何よりも目があってしまっている。

｢はい鮭大根三つな｣
｢……おう｣

さっさと食べて逃げよう、そう決意した直後。

｢……ま、まぁるどさん？｣
｢……ごちそうさまでした｣

滅多にしない大口を開き、一気に流し込んで席を立つ。
足早に会計分の金を置いて逃げるように店を後にする。

｢あっ、待って！｣
｢甘露寺!?｣

しかし蜜璃もまた席を立って追いかけてくる。

不味い不味い不味い。

恐らく柱になったであろう彼女に自分が鬼であるとバレるのは非常に不味い。

｢頼むから来ないでくれ……｣
｢嫌よ！まだまだお話したいもの！｣
｢そいつが例の男か甘露寺！｣

男からは殺気を向けられるわ蜜璃は追ってくるわ、マールドの寝起きは最悪なのであった。