ぶらりぶらりと歩んだ先は ページ34
一人でも多く、人々を救いたい。
その一心で走り続けていると、ふと眩しいほどの明かりが見えてきた。
「何だ……?」
不思議に思い木陰に隠れて覗き込んでみれば。
そこは金と欲にまみれた場所。所謂遊郭である。
「っ……う……」
マールドには全くもって無縁な、どころか避けたい場所。
悪意と色欲に満ちたこの場所はマールドには毒。
見ているだけで気分が悪い。
「うぐ……なんだありゃ……キッツ……」
吐き気がしてくるが、しかしあそこにも魔力の反応が、それも、隠されていてもかなり強大な、だ。
「クソ……あんなとこにも……」
苦々しい顔で一角の建物を睨み付ける。
しかし、マールドにはとても立ち入れそうには……
「ようにーちゃん、派手に気持ち悪そうだなぁ?」
「……!」
背後から人間の気配。
それもカナエらに近しい柱の雰囲気。
それも、鬼として見抜かれている。
「……あー……まぁ、な……はは……」
「……しっかしよ、まぁ地味に隠れてたこった。俺様じゃなかったら見過ごしてたぞ」
「そうかい……少し、待ってくれるか……今かなり気分が悪くてな……」
「鬼にそう言われて待つ奴がいるか?」
「はは……僕の知る限り一人しかいないだろうな」
振り返りながらなんとか回復しその姿を見る。
鍛え上げられた巨体を飾る、なんともまぁ派手派手な衣装、飾りというにはあまりに目立ちすぎる大きな宝石の数々。
そして巨大な二本の……日本刀と形容するには太すぎる刃を携えて、男はこちらを警戒していた。
「……このまま逃がしては……くれないよな」
「だろーな、俺様も一応音柱だ、鬼は派手に殺さなくちゃなんねー」
「困ったな……」
苦笑いを浮かべながら、仕方ないと血鬼術を展開する。
「……! へぇ、血鬼術か……何人食った?」
「……獣を数十匹」
「嘘こけ」
音柱、そう名乗った男は刃を構えて飛び出した。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時