日光の魔法? ページ17
とはいえ、である。
マールドの魔法は、あくまで日光に少しだけ似ているというだけであり、完全な特効とはならない。
それでも、一瞬怯ませるくらいの効果はある。
「くっ……速い……!」
戦闘に参加してきた鬼が振り回す触手。
狙いもついておらず、避けること自体は難しくない。
問題はその桁違いの威力と範囲、速度。
戦略なんてなくとも、ただ振り回しているだけで脅威となる。
「おかしいだろ……っ!」
咄嗟に張ったバリアが弾け、黒死牟の方へと撥ね飛ばされる。
またあの呼吸音が聞こえる。
「っ……範囲おかしいだろ……!」
即座にバリアを展開し直しも、圧倒的な攻撃範囲と遅れてくる追加の斬撃がガードをすり抜けてマールドの身体に傷を増やしていく。
「いって……」
魔法である程度回復させ、即座に出血を止め骨折をなんとか戻す。
「ねぇ君そろそろ諦めたら?
普通にここまで粘るのも凄いと思うけどさ、もう無理だよ」
「嫌だ、流石に諦める訳にはいかねぇよ。
帰してくれたら従うけどな」
「残念、それは出来ない相談だ」
「……はぁー……」
どうやらみすみす逃がしてくれる訳でもないようで。
冷気と共に、三体の氷人形が現れる。
それらは童磨と同じように血鬼術を放ち、無数の豹から氷の刃が大量に襲いかかる。
「面倒だな……更に増えた」
腕を振って炎を飛ばし、焼き付くして消し飛ばす。
「しつこい……一体どこまで食らいついてくるのだ……!」
一日経っても死なないマールドに流石に痺れを切らしたのか、鬼達が全力を出してきた。
「っ、ぐうっ……!?」
全方位を吹き飛ばすような衝撃、一瞬にして刀のリーチの数倍の範囲を破壊する斬撃、集中して放たれる渾身の打撃、巨大な菩薩を象った氷像。
その全てが、同時に全方位からマールドを襲った。
「がぁっ……!?」
全方位は防ぎきれず、マールドの全身から血が吹き出し骨が砕けていく。
着ていた服も、見るも無惨に破壊され、もうほぼ上裸で血塗れになっている。
「はは……おかしいだろ……」
「これで死なぬとは……化け物か……」
「どっちがだよ……」
目眩がする、くらくらしてまともに立つことも厳しい。
それでも、絶対に死ぬことは許されない。
大量のケチャップを飲み込みながら、マールドはそれでも決意を漲らせ飛び出すのだった。
9人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時