課題で映画を撮ることになった。【あんスタ】 (ページ10)

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　「単位を補完する仕組みだが、そこにこの『二つ名』が関わってくる。自らが定めた方向性に従って才能を発揮し、何かしらの成果をあげ、学院に貢献すれば、それに見合った単位の補完がなされるんだ」

　「なるほど」

　「基本的に生徒を留年させない方針だということもあって、この学院では進級オア退学という、ゼロか百かを選ばされるのが普通だ。朔間のように、例外的に留年を許される場合もあるが、あいつに関しては本当に特別な事情があっての留年だからな……」

　「朔間さん、年上なんだ」

　薫は、自分が記憶喪失になったと聞いて泣きついてきた黒髪の青年を思い浮かべた。年上で、自分と同じ『不死者』の、『超高校級の策略家』……。

　「朔間さんって、ラスボス系？」

　「うむ……あれはラスボスというよりは、自分は中ボスくらいに留まっておいて、筋書通りに黒幕ごと踊らせるタイプだな。ラスボスという言い方は、どちらかというと天祥院にふさわしい気がする」

　つまり、朔間零という人物はラスボスよりも厄介な人物なのらしい。

　「年上とはいっても、たったひとつだ。それに他は全員同い年だから、結局同年代だぞ」

　「ふーん」

　薫は相槌を打ちつつ、改めて3-Bの教室を見渡した。

　「気になるところは見終えたか？」

　「うん。とりあえず、この教室はもう出てもいいかな」

　「分かった。次は体育館に行ってみよう」

　千秋の案内に従い、薫は体育館へ足を向けた。

　「体育館では、基本的にバスケ部が活動している。もちろん今は3年生の合宿で、誰も使ってはいないが」

　千秋の言葉通り、体育館に併設された体育倉庫には、マットレスや跳び箱よりも手前に、バスケットボールの入ったワゴンがあった。

　「この学校って、バレーはやらないの？」

　「やらなくはないが、バレーはあまり盛んではないな。バスケと陸上、テニスは部活もあるが、他の競技はそうでもない。運動部とは言い切れんが、弓道と空手もあるぞ」

　「いやそれどっちも十分運動部でしょ。文化部とは言えないよ」

　薫は答えながら、体育倉庫の中を探った。ボールの空気入れ、各競技に使う道具、冬場に出してくるのであろう灯油式の暖房機。3-Bの教室にあった金魚鉢のような、不自然なものは特にない。