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 「おれも18になってまで人にたかりはしないよ。ましてやオバちゃんにたかるなんて、神さまが許したっておれが許さん」

 「またそんなこと言って……でも、そういうことなら俺がいただいちゃいますね。……ん、美味しいです」

 つむぎが顔を綻ばせた。

 「Aたちは食べないのか?」

 レオが聞いた。

 「黄泉戸喫(よもつへぐい)は避けた方がいいのかなって。Aちゃんに水を飲ませておいて今更なんだけどね」

 英智が言った。

 「あ……」

 完全に忘れていた。あの時は水をほしい一心で特に何も思うことなく飲んでしまったし、英智や千秋も特に何も言わずに水を与えてくれたが、たしかに良くなかったかもしれない。

 「ヨモ……?」

 「ヨモツヘグイ、ですよレオくん。早い話が、あの世のものを食べるとこの世に戻れなくなるという意味です。俺たちは既に死んでいますけど、なるほど、貴方たちは生きているんですね」

 「そうだ。俺たちは生きている。生きて、戻るべき場所がある」

 千秋が言った。少し硬い表情で、その声には決意が滲んでいた。

 「そうだね。僕も死ぬ訳にはいかない。まだまだやり残したことがあるし、これからやりたいこともある。……ごめんね、Aちゃん。もしかしたら僕は、君を死なせてしまったかもしれない」

 英智の言葉に、Aは軽く首を振った。

 「いいえ、そんなことはありません。何なら、私が死ぬことでより幸せになれる人もいますから。家族とか、」

 「そんな訳ない!」

 Aの言葉を遮るように叫ぶ声があった。それも二つ。
 叫んだのは千秋とレオだった。

 「あ、……」

 千秋は口を押えてしまった。しかしレオは、なおも叫んだ。

 「誰も、死んでいい人なんかいないんだ!オバちゃんだって、死んじゃいけない人だった!おれも、かわいい妹を遺してきた!笑顔で幸せに生きていてほしかったあの子を、おれは泣かせてしまったんだ!」

 レオの叫びはいつしか、生きたかった、まだ死にたくなかったという叫びになっていた。

 「施設を出る日、おれが最後にあの子に会った時、あの子は泣いていた。どうして行っちゃうのって。あの子には、遠くまで行くんだとは言ったけど、もう会えないとは言ってなかった。だけど、どこからか伝わってたんだ。おれが、おれとオバちゃんが『提供』することになったって」

 今や彼は、ぼろぼろと泣いていた。Aはだんだんいたたまれなくなってきていた。

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Chris(プロフ) - 冬枯さん» コメントありがとうございます。嬉しさで机殴りながら返信打ってます(だって初コメ……初コメ……!!)。遅々として進まない筆で申し訳ありませんが、少しずつでも更新してまいりますので今後もお楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月21日 20時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 楽しく読ませて頂いております!自分も友達から勧められ、新シリーズから始めた者です。流星の篝火は無理です。本当に無理。良い話すぎて泣きます。良さの反動と言えど、文を紡いでいくのはすごいと思います!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年8月21日 19時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2020年6月13日 0時

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