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 「作曲をするというか、何かを作るというか。曲だけじゃありませんよ、レオくんは小説や脚本も書いていました」

 つむぎが言った。過去形のその言葉に、英智が「いた?」と尋ねた。

 「そうです。それはとうに過去の話。今の俺たちは死人ですから」

 そう言って笑うつむぎの表情は、どこか悲し気だった。

 「死人……」

 千秋の呟きに、レオが答えた。

 「そうだ、おれは死んだ!おれを庇ってオバちゃんも死んだ!だけどシュウは生きてる、セナもナズナも生きてる、おれを覚えている人がいる!おれはそれだけで十分だ!」

 「そうですね、俺もそう思います」

 レオの言葉につむぎは笑った。

 「俺は他国の本も嗜んでいたんですが、俺たちの育った国は特殊だったんだと思います。俺とレオくん、それにレオくんが今ちらっと言いましたけどシュウくんにイズミくん――セナって呼んでた子のことです――、それにナズナくんの5人はみんな、ある施設で育った同期なんですけど、その施設というのが、成長したら『提供』をする子供を育てる施設だったんですね」

 「『提供』……もしかして、臓器提供か?」

 「そうです」

 千秋の呟きに、つむぎは頷いた。
 いつしか車内は静まり返っていた。近くの席に座る者みなが、つむぎの言葉に耳を傾けていた。

 「施設は年々縮小していたものの、俺たち以降も続いていました。それで、イズミくんとレオくんが言い出しっぺになって、俺を中心に計画を立てて、反乱を起こしたんです。自由になりたいって。イズミくんとナズナくんは見た目がとても綺麗で、それを魅力的に見せる技術に優れていたし、レオくんとシュウくんは芸術に優れていました。失われたら人類の損になるとすら思えるほどです。だから俺が反対する理由はなかったし、もちろん参加しましたけど」

 そこでつむぎは言葉を切った。暫くしてから彼はまた口を開いたが、言葉を選んでいるようで、その口調はゆっくりだった。

 「反乱を起こした俺たちに対する施設の処分は甘くありませんでした。元々俺たちには、普通の人のように生きる権利は与えられていません。レオくんが首謀者なのは施設側にバレてしまっていたんですけど、俺は自分が中心人物だったと主張しました。俺だけは5人の中で平凡な人間でしたから、俺ひとりの犠牲でみんなが助かるならって思ったんです。結果はご覧の通り、俺もレオくんも助かりませんでした。他の3人が助かったのは不幸中の幸いですね」

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Chris(プロフ) - 冬枯さん» コメントありがとうございます。嬉しさで机殴りながら返信打ってます(だって初コメ……初コメ……!!)。遅々として進まない筆で申し訳ありませんが、少しずつでも更新してまいりますので今後もお楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月21日 20時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 楽しく読ませて頂いております!自分も友達から勧められ、新シリーズから始めた者です。流星の篝火は無理です。本当に無理。良い話すぎて泣きます。良さの反動と言えど、文を紡いでいくのはすごいと思います!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年8月21日 19時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2020年6月13日 0時

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