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Aは身体が丈夫ではない。普通に体力があまりもたないのに加え、風邪を引きやすく悪化させやすい。医師や看護師、指導する先生方の目が届かない場合のある幼稚園や保育園へは通えず、長時間集団で教室にいて何かしらの病気に感染してもまずいということで小学校は通信教育となってしまった。中学および高校については、小学校卒業時点での状態や、進学先の学校の状況により、通えるか否かを決めることとなっている。
そんな訳で、Aの世界は、そこそこ大きな三毛縞家の敷地内と、両親や兄がくれる本やお話でできている。友達と呼べるものは一切おらず、ほぼ本と空想を伴侶に生きているようなものだ。
祭り好きの兄は、屋台の手伝いをしたり、ステージに上がって歌と踊りを披露したりしている。兄の祭りでの活躍は、本人が話をしてくれるし、両親も写真や動画を撮って見せてくれるので、一応Aも把握している。
熱を出すこともなく、風邪っぽい症状もだいぶなくなっていたAは、布団から抜け出して文机に向かい、書き取りの練習をしていた。
そこに、明るい声がかかる。
「ほらAさん、わたあめだぞお！」
祭りの日、兄はいつも早くに開催場所へ行き設営を手伝い、片付けを手伝って遅くまで残る。「あの御家」−−深海家へ行ったというのであれば、設営を抜け出して深海家へ行き、家へ戻って妹に顔を見せてからまた設営に戻ったということになる。そして、Aに屋台の食べ物を買ってくる時−−今回はわたあめだーーは、祭りを途中で抜けて家まで戻ってくれているのだ。その厚意は、本当に嬉しいものだった。
「ありがとうございます」
ふわふわと雲のようなわたあめがついた串を受け取る。滅多に食べられないものだからと、少しずつわたあめを食むAを、兄は優しく目を細めて眺めていた。
「どうだい、美味いかあ？」
「はい、とってもー……『お祭り』って感じですね？」
「そうだなあ、やっぱり祭りって感じだよなあ」
じゃあそろそろ、と兄は腰を上げた。
「Aさん、大変申し訳ないが俺はもう戻るぞ。食べ終わったあとのゴミはしっかりゴミ箱へ捨てること。あと、わたあめはあんまり触ると手がべたべたするから気を付けるんだぞお。ほらこれウェットティッシュ、ここに置いとくから(と、兄は文机の上にウェットティッシュを置いた)。あとはーー」
うんうんと考え込む兄を見て、Aはふふと笑った。
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Chris(プロフ) - 冬枯さん» コメントありがとうございます。嬉しさで机殴りながら返信打ってます(だって初コメ……初コメ……！！)。遅々として進まない筆で申し訳ありませんが、少しずつでも更新してまいりますので今後もお楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月21日 20時) (
レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 楽しく読ませて頂いております！自分も友達から勧められ、新シリーズから始めた者です。流星の篝火は無理です。本当に無理。良い話すぎて泣きます。良さの反動と言えど、文を紡いでいくのはすごいと思います！これからも更新楽しみに待ってます！ (2020年8月21日 19時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chris | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時：2020年6月13日 0時
