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 「いや、その認識で間違っていないと思うよ」

 英智が言った。これは僕の持論なんだけれども、と前置きして彼は説明してくれた。

 「カムパネルラは銀河ステーションで地図を貰った。対してジョバンニは銀河ステーションを出た時には既に乗っていただろう。僕の中での『一般的』にはなるけど、普通はただ駅名を2回告げるのは駅に停車している時だよね。駅名を2回告げた後に電車が既に動いていて、カムパネルラも前に座っていたのだとすれば、ジョバンニは銀河ステーションよりも前から乗っていたと考えるのが自然だ。そして、カムパネルラは川で死んでいるから、銀河ステーションで地図を貰って列車に乗り込んだ。つまり、地図は死者だからこそ貰えた、とも言い換えられる」

 「うむ。だから俺も、『地図は死者でないと貰えない』と考えているんだが……話が逸れたな。結局どうして持っていたんだ?」

 「簡単な話だよ。列車内で譲ってもらったんだ。羽風さん家の奥様にね」

 英智が言うと、千秋は顎に手を添えた。

 「羽風さん家の奥様……ああ、羽風のお母さまか。名の知られた海洋生物学者で、既に亡くなっていると聞くが」

 「そうそう。列車の物販をしていてね。どこか羽風くんに似ていたから、もしかしてと思って挨拶してみたら、ビンゴだった」

 英智がふふんと胸を張った。

 「ええとつまり、何が言いたいかと言うとね。この列車の乗客は、やって来た時間軸みたいなものがそれぞれで違うんだよ。だいぶ前に亡くなったはずの羽風夫人は亡くなってから間もないと言っていたし、僕と千秋は見た目と中身の年齢がずれている。Aちゃんだって、今聞いた年齢差は現実での僕らとはずれるかもしれない」

 「ああ、それならずれてるぞ。確実に」

 千秋がぽんと手を叩いた。確信を持ったその言い方に、Aは目を瞠った。

 「そう、なんですか?」

 「ああ、間違いない」

 「その根拠は?」

 英智が問うと、千秋は「うむ、簡単なことだ!」と笑った。

 「早い話が、現実の俺は訳あってAと面識があってな。だが、この列車で最初に顔を合わせた時、Aは俺のことを知らないようだった。どうせ俺の夢なのだからそういうこともあるだろうとその時は思ったが、***の言うことが本当なら、そのことにも説明がつく。このAは、俺と出会う前のAなのだからな、俺のことを知らないのは当然ということだ」

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Chris(プロフ) - 冬枯さん» コメントありがとうございます。嬉しさで机殴りながら返信打ってます(だって初コメ……初コメ……!!)。遅々として進まない筆で申し訳ありませんが、少しずつでも更新してまいりますので今後もお楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月21日 20時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 楽しく読ませて頂いております!自分も友達から勧められ、新シリーズから始めた者です。流星の篝火は無理です。本当に無理。良い話すぎて泣きます。良さの反動と言えど、文を紡いでいくのはすごいと思います!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年8月21日 19時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2020年6月13日 0時

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