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チョコレートを贈る意味。それは別に、昔チョコレートが「愛の妙薬」として使われていたからとかそういうことではない。それもあるかもしれないが。
早い話が、「食べればなくなる」からである。場所を取らない。つまりまた買ってもらえる。それ即ち企業がやるべきは販促だ。
今回Aが奏汰に渡したような手作り防寒具一式などは、本来よろしくないものの暫定トップである。使っても減らないし、来年には絶対に贈り物にならない。
今回は奏汰相手で、奏汰との間でプレゼントのやりとりをしたことがなかったからAも自分にゴーサインを出したのだ。
「うーん、ちあきはよろこんでくれるとおもいますよ?だいたいあのおろかものは、『まふらぁ』をどこかにおいてくることもおおかったし……?」
「……まさかとは思いますけど、千秋さんって、雪だるまあったらマフラーと手袋あげちゃうタイプだったりしませんよね?」
「まよわずあげちゃうとおもいますけど」
あげちゃうのかー。
あげちゃうのか……。
つまり、彼にはマフラーと手袋の一式は幾つかあってもいいのかもしれない……のかもしれない。スキャンダルがどうのこうのと言ったが、市販か否かまで特定してくる人は流石にいないだろう。
「……」
「……」
渡さないという決心が揺らいだAは奏汰を見上げた。困った顔をしていたのか、苦笑で返される。
「あなたはあげたいですか?それともあげたくないですか?」
「奏汰さん、私に『あげたい』って言わせるつもりでしょう」
「だって、そうしたら」
奏汰はそこでいったん言葉を切り、くすくすと笑みを深めた。若干嫌な感じがする。
「そうしたら、ぼくとちあきはおそろいがふえますね」
「私を出汁にして惚気るの止めてもらえます?」
Aはため息を吐いた。
「じゃあまあ、はぁ……」
たまたま、本当にたまたま、奏汰に渡したものと同じ一式――即ち、帽子、手袋、マフラー、布袋――があった。ポンポンをもしゃもしゃ作りながら、Aはもう一度ため息を吐いた。
「〜♪」
奏汰は物凄く楽しそうにAの手元を見ている。Aは白いポンポンを作る傍ら青い毛糸でひとつポンポンを作り、奏汰に渡した。彼は嬉しそうに手の中でポンポンを弄びながら、Aの手元を見ていた。
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Chris(プロフ) - 冬枯さん» 元々あんスタ知ったこと自体ツキウタ。がきっかけで、あんスタ→ツキウタ。→あんスタ(今)みたいな感じなんです。製本も、とりあえず自分用に作ってみて、満足行く出来なら頒布に出そうかな、くらいなので本当におかまいなく……>< Musicの星5千秋は大変でした^^; (2021年1月10日 11時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 本欲しい…でも無理そう…面目ない… 主さんツキウタ。ご存知だったんですね!まだツキアニ。2を見た程度で何も知りませんが少しずつ知る予定です。☆5千秋おめでとうございます!更新しつつはヤバいっすね…!これからも応援してます! (2021年1月9日 14時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
Chris(プロフ) - 冬枯さん» いつもコメントありがとうございます!そうなんです、プロ科の1年生です。本編ではつぼみまでの成長で、開花まではしませんが、いろんなアイドルたちと関わる中で成長していく主人公を描き出せればと思います。 (2020年12月31日 17時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 続編ありがとうございます!!主人公ちゃんは正式に作られるプロ科の1年生か!!あんずちゃんなどの力を借りて成長していくんですかね…?その前に何かありそうな気もします…読めば読むほどお話に引き込まれる感じがします!これからも更新楽しみにしてます! (2020年12月31日 15時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時:2020年12月17日 23時