☆ ページ21
「あの……凄い、服、ですね」
あ、ヤバいしくった。だって無言が辛すぎる。おいなんか言えよイケメン。その服が似合うのは化け物顔面と化け物スタイルだけだからな。
「あぁ。ここじゃ珍しいだろうね」
「へぇ〜」
はい会話終了。助けて女子高生。
なになに、それ民族衣装だったりしますか。知らんわ。こちとら根っからの日本人だぞ。
「ウォズさーん!お客さん困らしてませんか〜!?」
聞こえた大声に、ウォズさんはため息を吐く。
けれどどことなく嬉しそうな……めっっちゃ顔良いなこの人。
「お客さん困らしてたらソウゴ君に言いつけますからね!」
ぴょこりと奥から顔を出して、女子高生はそんなことを言う。どれだけ信用が無いんだこの人。てかどういう関係なんだ。客じゃ無いことだけは分かる。
「それは大変だ。善処しよう」
……え、待て待て待て。
なんだその優しい顔。優しいがすぎるぞ。いや完全に顔が「愛しい」とかのそれなんですが。いや、わかりやすい。というか私は何を見せられてんだ。
「お客さん。ウォズさん悪い人じゃないので、大丈夫ですよ!」
「悪い人なんだがね」
「またそういうこと言い出す……。お客さん、もう少し待ってて下さいね」
必死に首を縦に振る。あとイケメンに関してはその言葉をもう少し詳しく聞きたい。具体的に言うと単行本5冊くらいで聞きたい。
女子高生がまた言ってしまい、けれどイケメンが女子高生の居た方を見ながら口を開いた。
「A君は本当に……御客人。時計を見せてくれないかな?」
あまりのイケメンオーラに何か吐きそうなのを堪えつつ、慌てて時計を渡す。いやなんか見てるだけで絵画なんですが。え、その時計本当に家にあったやつ? 押し入れの中の棚に、子供向けシールと一緒に入ってたやつ?
「中々良い時計だ。ここの店主にかかれば、これもまた時を刻むだろう」
「時を刻む……」
「あぁ。時計と言うのは、そういうものさ。時を刻み続ける。そうして前へと回る」
いやごめん。なにその超絶ポエムってるセリフ。
普通に良いセリフだなとか思って復唱しただけだから、そんなちゃんと言わなくても良いですよ。
そうするとイケメン、また女子高生の居る方を見る。
「あの……恋人、とかだったりしますか?」
イケメンの目が少し見開かれて、下を向く。
分かる。これ多分聞いちゃいけなかったやつ。
目の前にあったジャム瓶を長い指が撫でて、女子高生へ向けたものと同じ笑顔をして。唇が動く。
さぁね。
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ツキノワ。(プロフ) - るしゐさん» 返信が遅くなり申し訳ありません! 一般人視点、書くのは楽しかったのですが読んで下さる方がいるのかなぁと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます! (4月9日 18時) (レス) @page49 id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
るしゐ - こんにちは〜!時差コメですみません…。ツキノワ。様の小説大好きです!!一般人視点、新しくて好きです〜!素敵な小説ありがとうございました! (2月11日 9時) (レス) id: 3376040ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ツキノワ。(プロフ) - アイレさん» こんなに古い作品にコメントありがとうございます!読んでくださるだけでも嬉しいのに、コメントまでくださるなんて嬉しすぎます〜! (12月29日 23時) (レス) id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
アイレ - え……まさかのパラドがいる!!え…めっちゃ新しい視点で物語読むの想像してた以上に楽しい……素敵な作品ありがとうございます!(*‘ω‘ *) (12月29日 19時) (レス) @page47 id: 2f4437d82e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツキノワ。 | 作成日時:2019年11月12日 21時