☆ ページ18
やはり彼女は、僕が好きなんだと思う。
いつもなら通らないであろう道を、通ってくれる。きっと僕が初めてコンビニより先に行くから、案内してくれているんだ。本当は知ってるけど、彼女に案内されるんだから無粋なことは言わない。
コツコツと靴の音が響く。
買ったのはいつなんだろう。もっと前から出会っていれば分かったのに。惜しいことをした。
髪がサラサラと動く。あぁ、触れたい。
触れたいなんていけないことだろうけど、思うのは許して欲しい。あの髪に触れたい。きっとどんな糸よりも柔らかいんだろう。
気が付かなかったけど、男と女が居た。
コンビニでぶつかってきたアイツだ、と思った瞬間。女の方がダダダと彼女に走ってくる。は、なんだ。
「あー!姉貴今帰り?」
姉貴? 姉貴、姉、つまり妹なのか?
彼女と出会ってから2週間。そんな話は聞いたことがない。彼女は一人暮らしで、2週間帰り道で家族らしき人物とは接触していない。電話もしてない。
と、いうことは。可能性は十二分にある。
なるほど、『お姉ちゃん』なのか。これは良い情報を得た。黒髪も、言われれば似ている気がする。
お姉ちゃん、おねぇちゃん、おねぇちゃん。
なるほど。
慣れたように妹は腕を組んだ。男の方はなんだろう。妹とは反対の方へ言ったけど。アイツは気持ち悪い。
「そ、そうそう!も〜、あんまり夜まで遊んじゃダメだよ〜?」
あぁ、いつもより大きい声。そういえばこうやって、目の前で知り合いと話す彼女も見たことが無かった。なるほど、こんな風に喋るんだね。
スカートに赤いパーカー、変な帽子。彼女とは違った感じの派手な服装の女。きっと年齢は高校生かその少し上か。少なくとも、彼女とは少し年が離れているみたいだ。きっと昔から可愛がられたに違いない。
問題は、男の方だ。
黄色の悪趣味なストール、彼女に似合わない緑の迷彩柄ズボン。威圧感しか与えないであろう長い身体と、黒髪に混じるおかしな白髪。妹の恋人、にしては歳が離れすぎている。だとしたら兄か? いや、兄では無いだろう。こんなのが兄なわけが無い。
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ツキノワ。(プロフ) - るしゐさん» 返信が遅くなり申し訳ありません! 一般人視点、書くのは楽しかったのですが読んで下さる方がいるのかなぁと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます! (4月9日 18時) (レス) @page49 id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
るしゐ - こんにちは〜!時差コメですみません…。ツキノワ。様の小説大好きです!!一般人視点、新しくて好きです〜!素敵な小説ありがとうございました! (2月11日 9時) (レス) id: 3376040ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ツキノワ。(プロフ) - アイレさん» こんなに古い作品にコメントありがとうございます!読んでくださるだけでも嬉しいのに、コメントまでくださるなんて嬉しすぎます〜! (12月29日 23時) (レス) id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
アイレ - え……まさかのパラドがいる!!え…めっちゃ新しい視点で物語読むの想像してた以上に楽しい……素敵な作品ありがとうございます!(*‘ω‘ *) (12月29日 19時) (レス) @page47 id: 2f4437d82e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツキノワ。 | 作成日時:2019年11月12日 21時