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Case.248 ページ4

戻ってきていたのか…。

「深町君、予備の眼鏡を持ってきたよ」
「旦那様…お手数をおかけいたしまして申し訳ございません」

ぺこりと、深町と呼ばれた執事が頭を下げる。
というのも、諸岡が深町の眼鏡を誤って壊してしまい、予備の眼鏡を取りに車へ行っていたのだ。毛利小五郎は念の為に付き添っていた。
2人が帰ってきていたことに気づかないなんて、Aに気を取られすぎていたらしい。これは少々よろしくない。
1人でこっそり反省していると、蘭さんがその場で立ち上がった。

「お父さん、この人が前に話してたAさんよ」
「前に…?」
「ほら、園子姉ちゃんが人探しで依頼に来た時だよ。引ったくりに遭った時に助けてくれた女の人!」
「なにぃ!?こんな美人だったのか!?」
「だからそう言ったじゃない!」

なんだか懐かしい話をしているなと聞いていると、深町が諸岡に耳打ちしているのが見えた。

「旦那様。実は先程、この女性に――…」

どうやら、さっきの警報音の件を報告しているらしい。ひとつ頷いた諸岡は、にこりとAに笑いかけた。

「君、どうやら私の執事の不手際を助けてくれたそうだね。礼といってはなんだが、君も好きな物を注文してくれ。今日は私の奢りだから、好きなだけ頼んでくれていいよ」
「あら、気前がいいのね。大したことはしてないけど、ありがたくお受けするわ」

Aは待機していた深町からメニュー表を受け取ると、リストの中からソフトドリンクを注文した。どうやらバイクで来たらしい。

「九条Aさん!」

そこへ、見計らったかのように毛利小五郎がやってきた。キリッと顔を整えていて、いつもより2割増しで目が大きい。

「蘭の父親で探偵をしております、毛利小五郎です!以後、お見知りおきを…」
「ふふ、話は聞いてるわ。日本でとっても有名な探偵だそうね」

あまりに分かりやすい反応だったからか、Aがおもしろそうに笑った。おだてに気を良くした彼は、いやぁそれほどでも、と謙遜まがいの言葉を並べる。

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胡蝶(プロフ) - 来来(きままに更新)さん» コメントありがとうございます!一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…!嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ! (9月6日 0時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来(きままに更新)(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです!尊敬します! (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(;ω;)とっても嬉しいです!!もちろんお楽しみにしながら待ってます!!!♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そして、嬉しいお言葉をありがとうございます!タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2023年7月10日 8時

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