Case.126 ページ8
「……ん、」
再び目覚めた頃には、時間は10時を過ぎていた。
「よく寝た…」
ベッドを下りると、ローテーブルの脇に服が置いてあった。申し訳程度に畳まれたそれは、昨日脱ぎ散らかしたものだ。丁寧に下着まであるので、見てるとなんだか恥ずかしくなってくる。
…考えるのはやめよう。
さっさとそれらを身につけると、腰の痛みがだいぶ良くなっている事に気がついた。
これならバイクも乗れるかな。
好きなだけ居ていいとは言われたけど、着替えたいしシャワーも浴びたい。私も少し後処理が残ってるし、早いところ工藤邸に戻らないと。
「…あれ、ギターがある…?」
ふと、立てかけられたアコースティックギターが目についた。前に来た時はなかった気がする。
「ギターといえば…スコッチよね」
彼が持っていたのはベースだったけど、スナイパーだったスコッチはライフルをギターケースに入れて持ち運んでいた。
弾いてるのは一切見たことなかったから、ただのポーズかと思ってたけど…零がギターを持ってるってことは、本当は弾けたのかもね。
スコッチは零と同じ公安からのNOCで、さらには幼馴染だったと後で知った。だから、連想されないように片付けてたんだろう。
「…にしても、零がギターか…。本当、なんでも出来るわねあの男…」
興味ないと言っていたはずの料理ですら、たったの4年であの腕前だ。逆に何が出来ないのか教えてもらいたい。
とりあえずギターは今度弾かせようと心に決め、ボディバッグにスマホと充電器を突っ込んでマンションを出る。言われた通りカギはポストに放り込んで、私は愛車に跨った。
◇◇◇
「なんだ、もう帰ってきたのか」
工藤邸に戻ってきた私を見るなり、秀一は咥えていた煙草の火を消した。テーブルに分解されたライフルが広がっているあたり、メンテナンスでもしてたんだろう。
「残念ながら、お互い忙しくてね」
「熱心なことだ」
返事の代わりに肩をすくめて、とりあえずバスルームに直行する。
「…うわ、すご」
シャワーを浴びながら、鏡に映った自分に若干引いた。体のあちこちに、いくつもの赤い痕が残ってる。
「どれだけ付けてんのよ…」
胸やくびれ、脚の付け根に内腿、後ろを向けば腰にも見えた。
「…あ、首にも…って、ちょっとこれ隠れる…?だいぶ際どくない…?」
これが所謂独占欲か。
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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます!もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです!語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…!度々一人で悶えながら読んでます!面白い作品に出会えて私は幸せです(´;ω;`)更新楽しみに待ってます! (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます!一気読み嬉しいです!書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…! (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました!続き待ってます!更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ! (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時