Case.79 ページ45
「私ね、好意って…少し苦手なの」
途端に、零が苦しそうに顔をしかめた。
「…それは」
「好意って、ある意味執着でしょ。…だからかな、よく分からなくて…なんだか怖いのよね」
こうなった原因は言わずもがなだけど、もともと恋人すらまともにいたことがないから、これがおかしいのかすら本当のところよく分かっていない。
「でも、アンタのことは嫌いじゃないし、少しなら向き合えそうだったから。それに、拒絶ばかりなのはアンタに悪いと思ったのよ。…それだけ」
そっけなく聞こえるかもしれないけど、本当にそれだけだ。零の好意を受け入れようと思ったわけでもないし、私が耐えられなくなってまた拒絶することもあると思う。
「だから、大して気にする必要は──」
「本当か」
「…は?」
突然言葉を遮られたかと思えば、口調が零に戻ってる。
何やってんのコイツ?
「…ちょっと、こんなとこで素に戻るのは危険じゃ…」
確かに周りに人はいないけど、今はポアロからの目がある。普段なら絶対に素を見せるはずないのに。
「──本当なのか」
「だから…って、ちょ…近っ…」
私が辺りに目を走らせている間に距離を詰められていたらしい。あっという間に近くの壁際に押しやられ、逃げ道を断たれた。
「零、少し離れて…」
「いやだ」
子供か。
思わず突っ込んだけど、やってることは全然子供じゃないな?
「…なぁ、本当に僕の事、嫌いじゃないのか」
「だから、そう言ってるでしょ。嫌いだったら、そもそも正体を明かそうなんて思わない。アンタの家から逃げて、それっきり姿を隠すわよ」
それに協力関係なんか持ち掛けないし、デートだって行ってないわ。
なんでそんな当たり前のことを聞いてくるんだと思ってると、零は一瞬迷うように瞳を揺らして、確かめるように口を開いた。
「…怖く、ないのか」
「───…」
ああ、なるほど。それが聞きたかったのか。
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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時