微睡みに落ちる２【降谷零/安室透】

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「はい、出来たぞ。──ラーメン3人前」

そうして目の前に置かれたどんぶりには、野菜や煮玉子、チャーシューまでのったラーメンがほかほかと温かい湯気を立ちのぼらせていた。

「熱いから気をつけてな」
「…ん」

こくんと頷いて、ギムレットがおそるおそる麺をすする。と、驚いたように目を見開いた。

「おいし！」
「お、良かった。期待には添えたみたいだな」

にかっと笑うスコッチと共に、手を合わせてから箸をつける。
うん、旨い。
さすがはヒロだ。店の味にも負けないかもしれない。

「…でもまさか、袋麺を持ってくるとは思いませんでしたよ」

そもそも、インスタントの袋麺がこの家にあることに驚きだ。ギムレットとラーメンなんて、イメージがかけ離れすぎてて想像もできなかった。
しかも、何を使ってもいいからおいしく作れとのお達しだった。おかげでボリューム満点のスタミナラーメンが出来上がったので、僕とスコッチもご相伴にあずかっている。

「スコッチの料理、おいしかったから。これももっとおいしくなるかなって」
「そっか。喜んでくれてたみたいで良かったよ」
「………」

なんだこれ。
目の前には、はぐはぐと煮玉子をかじるギムレットを、スコッチがにこにこと笑いながら見守る微笑ましい光景が出来上がっていた。
スコッチに対する普段の彼女の態度が懐いてない猫のようだから、この光景を見ていると餌付け中の猫を見ているようでならない。
ダメだ、とりあえず食べよう。

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