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Case.3 ページ5

工藤と表札の出た邸宅に到着すると、ジョディとジェイムズは中にいた男に一言二言話して、すぐにどこかへ行ってしまった。
いや、確かに隠密行動しているFBIが頻繁に出入りするのは良くないとは思う。
…思うけど。

「…………」
「…………」

仁王立ちした私が睨みつけているのは、ゆったりとソファに背中を預けた、茶髪に糸目、眼鏡をかけたこの男。

「……本当にライ?」
「そうだと言っているだろう」

なんか、もう少し紹介とかしていくものじゃない?私引き渡されただけなんだけど。笑顔なんてかけらも見せなかった男が、こんな自然に柔和な笑みを浮かべてるとか、なにこれ夢?

「…雰囲気が違いすぎて信じられない。マスク取って」
「残念だが、やり直すのは手間がかかるのでな」

飄々と受け流す様子が癪に障る。この感じは、私の知るライによく似ていた。
でも、やっぱり決定打は欲しい。

「じゃあ、目。…見せて」
「……?」

不思議そうな顔をするも、言った通り糸目を開いてくれた。
射貫くような、ライトグリーンの瞳。
それをじっと見返して、ふっと口の端を緩めた。

「…その目、変わらないのね」

そう言って、ライの向かいのソファへ腰を沈める。

「分かった、信じる」
「…何よりだ」
「ここに来るまでに、ジョディとジェイムズから一通り話は聞いたわ。アンタの死を偽装した経緯も、それを考えた頭のキレるボウヤのことも、…バーボンのことも」

ライがピクリと反応した。
バーボン…いや、本当の名前は降谷零。


日本の安全と秩序を守るために存在する───公安警察。


「彼のことは、うすうす感づいてた。スコッチの件があってから、ちょっと様子がおかしかったし」

もっとも、似たような時期に私は組織を去ることになったんだけど。
あの時の彼に会ったのはたったの1回で、まともに話してもいない。

「まぁな。そのせいで、俺は心底彼に恨まれているがね」
「ふぅん…ライもそんな顔するのね」

自嘲気味に笑う様子が珍しい。この短時間で、この男の新しい側面を2つも見つけてしまった。
いや、違うか。

「“それ”が、赤井秀一としての顔?」
「…どうだろうな。あの組織で立ち回るために雰囲気を寄せた自覚はあるが」
「そう。…ならジョディの言う通りにするべきかな」

目の前の男が、“ライ”でないのなら。


「───秀一。改めて、よろしくね」

「こちらこそ。君のバックアップなら心強い。頼むぞ、A」


この男と組むのなら、悪くない。

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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時

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