Case.16 ページ18
「え、ちょっ…なに…っ」
早足で距離を詰め、椅子から完全に立ち上がった彼女をカウンターに追い詰める。
「この4年間、僕がどんな思いで貴方を探していたと思ってるんですか!?」
「ご、ごめんって!今のは軽いジョークで…」
「寝る間も惜しんで、ずっと…!」
「悪かったわよ…。覚えてるのは分かったから、そんなに怒らないで…っていうか、ちょっと離れて…」
「っ、」
必死に胸を押し返してくるが、的外れなことしか言ってこない。
頭の中でプツンと何かが切れた。
「僕が怒ってるのは、そんなことじゃない!」
「え……んぅ!?」
ぽかんと開いた唇に噛みついて、強引に舌をねじ込む。逃げられないよう後頭部を押さえ、腰を引き寄せたあたりで園子さんの黄色い悲鳴が聞こえてきたがとりあえず無視。
「ちょ…なに、考えて…んん!」
ギムレットが僕を引きはがそうと抵抗するので、上顎を舌で擽ってやる。彼女は、ここを責められると弱い。
「ぁ…っ、んんッ!ふ、ぅ…っ!」
案の定、すぐにかくんと膝が折れた。そっと唇を離し、すっかり大人しくなった彼女を、近くの椅子に座らせる。じろりと、潤んだ瞳が僕を睨んだ。
「サイッテー…」
「なんとでも。言っておきますが、まだ僕の気は済んでませんよ?」
「…帰る」
「おや、帰れるとお思いですか?」
にこりと笑顔を向けて腕を掴めば、さぁっと青ざめたのが分かった。
「というわけで梓さん。申し訳ありませんが早上がりさせてください。今日の給料はいりませんから」
「あ、はい…」
梓さんは顔を赤くしながらこくこくと頷く。
「園子さん。僕、彼女と話があるので…ハムサンドのお代は僕の給料から天引きしてもらいますから、連れて行ってもいいですか?」
「も、元々私が奢る予定だったから、気にしなくていいです…」
こちらも同じく赤面していて、蘭さん共々まったく目が合わない。代わりにコナン君が赤い顔で凝視していた。君も男の子だな…。
「…さて、行きましょうか?」
まだ立てないだろうと片手を差し出すと、一瞬で払い除けられた。
「いらない…!」
言葉の通り、彼女は1人で立ち上がると、つかつかとドアの方へと向かっていく。
そのやり取りを懐かしいなと思ってしまって、後を追いかけながら、僕はほんの少し苦笑した。
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時